私たちが言葉を学ぶ理由 -メイドさんをきっかけに中国語を学んだお嬢様の事例-
大家好!メイド Advent Calendar 2019、12月24日分を担当するプロお嬢様 もえ氏(萌大小姐)です。クリスマスイブの今日は、これまで語っているようで語っていなかった中国語の学習について、私の個人的な体験を軸に語っていきたいと思います。しばしお付き合いください。
誰?
もえ氏と申します。元メイドさんで、現在もメイドカフェでノマド会にて不定期でメイドさんをしており、自身もメイドさんが大好き。メイド好きが高じて秋葉原へ引っ越し、現在秋葉原在住3年目。ひょんなことから台湾のメイドカフェの虜になり、そして台湾を好きになった後に日台クォーターであることが判明するというミラクルを起こした人です。
中国語との出会い
平成も終わりに近づくある日のこと。転職を間近に控え、有給消化期間に入った私は、束の間の休息を満喫するべく海外へと赴きました。どうせ海外に行くならメイドさんのいる国がいい!そう考えて決めた行き先は、もちろん台湾です。
※この時点では、台湾の公用語である中国語(繁体字)を全く話すことができませんでした。自らのルーツが台湾にあることにも気づいていませんでした。ちなみに、台湾の公用語は台湾語じゃないよ。
台湾に着くなり向かった先は、もちろんメイドカフェ。そして1軒、また1軒とメイドカフェを巡っていく中で、とあるメイドさんと出会うことになります。そのメイドさんの名前は仮に凛ちゃんとしておきましょう。凛ちゃんとの出会いこそが中国語との出会いであり、中国語と真剣に向き合っていく契機となったのです。
凛ちゃんと中国語で話したい
凛ちゃんは幼い見た目ながらも落ち着いた雰囲気を持ち、気配りのできる素敵なメイドさん。あまり得意ではない日本語で一生懸命私に話し掛けてくれました。彼女のお陰で台湾への旅がより良いものになったことは言うまでもありません。しかし、そんな彼女の気持ちを嬉しく思った一方で、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいました。本来であれば外者である私が現地の言葉で話す努力をするべきなのに、なぜ当たり前のようにメイドさんの好意に甘えてしまっているのだろうか?と。
このモヤモヤを晴らすためには、凛ちゃんと中国語で話せるようになるしかありません。私は居ても立ってもいられなくなり、すぐに行動を起こすことにしました。
中国語を学ぶ日々
日本に帰国するなり、中国語の学習を開始しました。凛ちゃんとお話しするために。そして、筋を通せる自分でいるために。
手はじめに、『今日からはじめる台湾華語』を一冊仕上げました。この本は繁体字(台湾の中国語で使われる、簡略化されていない漢字)の中国語を日本語で学べる数少ないテキストの一つで、初学者にとって大変有用な一冊です。特に、台湾のみで使われる発音記号であるボポモフォ(注音符号)は、この本のお陰で習得できたと言っても過言ではありません。
次に、台湾留学生の間で最もメジャーなテキストである『實用視聽華語』(Vol.1〜3)に取り組みました。英語圏向けのテキストですが、細かい言い回しまで学ぶことができる優れたシリーズです。
また、上記2タイトルの弱点である "文法の体系化" の要素を補うため、東京外国語大学文法モジュールを一通りこなしました。体系的に学ぶことにより知識に穴がなくなり、中国語の文を的確に解釈できるようになりました。
その他にも副読本を読んだり、ネットで文法の疑問の解消を試みたり、台湾のYouTuberの動画を見たり、TOCFL(台湾華語能力検定)を受けてみたり。凛ちゃんと中国語で話せる日を夢見て、学習に明け暮れる日々が続きました。
その後の出来事についてはご想像にお任せしますが、中国語を楽しく学びながら、現地のメイドさんやご主人様方と楽しくやっています!
中国語学習の5つのメリット
中国語に限らず、言語の学習とは莫大な時間と労力を要するものですが、それを遥かに上回るメリットがあります。偏った例ですが、私が学習を通して感じたメリットを5つご紹介します。
1つ目は、台湾のメイドさんと話せるようになること!中国語を学ぶまでは、話せるメイドさんや内容に制約がありました。その制約を少しずつ取り払っていけるようになり、気持ちの上でもメイドさんとの距離を縮めることができました。また、言語を学ぶことの素晴らしさにも気づくことができました。学んだ言葉が相手に通じ、そして相手から言葉が返ってくる。これ程嬉しいことが他にありましょうか!
2つ目は、台湾のメイドさんに喜んでもらえること。少しずつ中国語を習得していく私を見て、メイドさん達が嬉しそうに「中国語上手くなったね!」「よくできました!」と言ってくれるようになりました。推し事の本質はメイドさんを喜ばせること。プロお嬢様冥利に尽きるというものです。
3つ目は、台湾のご主人様方と仲良くなれること。中国語を学習し、何度も台湾に渡航しているうちに、現地のご主人様方とも交流するようになりました。メイドさんのライブで共に盛り上がり、メイドさんへの気持ちを拗らせて西門町の路上で共にうなだれ。このような経験を通じて、「言葉さえ通じれば国を越えてわかり合える」ということに気づくことができました。
4つ目は、台湾滞在中に困らなくなること。ある程度学習を進めた段階で「中国語の文を読んで全く意味がわからない」ということがなくなりました。今やメイドカフェのイベント告知文だって読めますし、何なら現地のニュースだって読めます。必要な情報に中国語でアクセスできるようになったのは大きな収穫でした。
5つ目は、あらゆることに対して偏見がなくなること。大げさに聞こえるかもしれませんが、中国語と真剣に向き合ったことで、「母国語と異なる言語に込められた価値観を学び、その言語を母国語とする人々を理解する」というプロセスを体験することができました。そして、言葉は違えど皆一様に人なのだと理解できるようになりました。この体験が、私の中に僅かながら残っていた差別や偏見の考えを限りなくゼロに近づけてくれました。
結局、何のために学ぶのか
台湾のメイドさんをきっかけに中国語を学んでいく過程で、言語を学ぶことの意味について思いを巡らせました。たくさん、本当にたくさん。そしてこの頃、一つの答えにたどり着きました。
言語を学ぶこととは、「究極の思いやり」である――
言語を学ぶこととは、異文化や異なる価値観を「思いやる」こと。言い換えると、莫大な時間と労力をかけ、相手の文化や価値観を積極的かつ謙虚に理解しようと努める行為です。だから私たちは言語を学ぶのです。そこに道具としての価値を超えた意義があるからです。
世界中の人々の「言語を学ぶ姿勢」が、異文化や異なる価値観を理解する可能性を秘めていること、国を越えて人と人を結びつけていくことを私は確信しています。そして、メイドさんがそのきっかけになるケースが実際にあったという事実をここに記しておきます。(N=1)
【冬コミ後日談】C97にて 『メイドさんと学ぶ台湾中国語講座』 を頒布しました。
ここからはコミケのお礼です。2019年12月30日、冬コミ3日目に『メイドさんと学ぶ台湾中国語講座』を頒布させていただきました。
嬉しいことに、想定よりも多くの方に手にとっていただくことができました。この本をきっかけに、「究極の思いやり」の第一歩を踏み出していただければ、著者としてこれ以上嬉しいことはありません。
以下、簡単に本の内容を紹介いたします。
第1章で台湾の言葉を知り、
第2章で単語に触れ、
第3章では「メイドカフェにご帰宅するシチュエーション」で "生きた中国語" を学びます。
全体的に実用的な内容となっており、メイドカフェに興味がある方だけでなく、これから中国語を学んでいきたい方の「はじめの一冊」としてもお役に立てるものに仕上がったと自負しています。
コミケ会場にお越しになれなかった方は、是非 こちらの通販サイト からお買い求めください。あなたも「究極の思いやり」の一歩目を踏み出してみませんか?
また、【-mode of maid-】さんのC97新刊(メイド喫茶メモワール vol.Ⅴ)に私のインタビュー記事が掲載されております。インタビュアーの力量のお陰で、台湾のメイドカフェとメイドさんの魅力がリアルに伝わる内容となっておりますので、ご興味がございましたら こちらの通販サイト からお買い求めください。
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