「騎馬民族征服王朝説」について思うこと
歴史雑記172
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ついこの間読んだ本の解説に、「思想とは自分の感覚を他人に押し付けることである」という一説があった。
当否は別にして、うまく言うものだと感心したのだが、私の騎馬民族征服王朝説(長いので、以下「騎馬民族説」とする)にかんする感想もこれに近いものがある。
もとより、学説としてはとうに否定されている(というかそもそも成立していないという批判がありその通りである)のだが、提唱者の江上波夫がずっと曲げなかったこと、エンターテイメントなどにずいぶん採り入れられて、いまでも間接的にそれと知らず摂取する人がいるので(手塚治虫『火の鳥 黎明編・ヤマト編』)、いつか書いておこうと思っていたのである。
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