『史記』各篇の編纂順について──楚関係史料を例として
歴史雑記072
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はじめに
前回は『史記』のなかで、前漢武帝期末までに成った部分と、そうでない部分があるという話をした。
建前として、一三〇巻が武帝期末に存在したわけだが、もちろんそれはごく短期間に編纂されたわけではなかろう。
そしてまた、各篇は巻一から順番に書かれたものかというと、各篇の内容からそれも認めがたいと考えるべきだろう。
たとえば、年表の類は本紀・世家などを書くために幾度も参照しえるし、あとから空欄に追記することも容易であろう。
このような観点から、関連する各篇の異同に注目すると、ピンポイントで相対的な先後関係を明らかにできる箇所もある。
湮滅された六国の史書
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