書庫追想──とじる/ひらく
歴史雑記127
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この記事はほんとうの雑記なので小見出しなどはない。
この何ヶ月か、ある大きくて古い──要するに大手である──出版社の書庫に出入りしている。
その書庫が入っているビルは神保町の一角にあるのだけれども、靖国通りやすずらん通りに向かって「開いて」いる古書店、あるいは専門書店などとは異なり、存在をほとんど知られることなく「閉じて」いる。
ごく限られたカードキーを持つ者だけが、その空間に侵入し、蒐められた本の匂いを嗅ぐことができるという寸法だ。
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