「人に優しい」はマイノリティ、だったんだね。
「美咲は優しいね」
この言葉を私はこれまでに、人から何度言われたか分からない。
小中高大。
同級生から、先生から。
せっかくだから、自分で数え切れないくらいには言われていた、ということにしておこうかな。
でもね、違うの。
私は優しいんじゃなくて、
自己犠牲していた、
本当はただ、それだけなの。
当時、どれだけクラスで浮いて嫌われていた人であったとしても、私だけは凛として、いつもいつもいつもいつも、困っている(と私が判断した)その人に、手を差し伸べ続けていた。
人はそれを「優しい」と評価した。
違うんだ、と声を大にして言いたい。
私は優しかったんじゃない、ただ、あなた達みたいに自分をいちばんに考えて行動することが、我儘になることが、できなかっただけ、なんだ。
それを、誰にでもできることじゃない、みたいな雰囲気を醸し出して「優しい」なんて言われても困る。
それに私がしていたのは、どれもこれも自分にとっては当たり前であって、普通のこと。
だけど、その普通こそがマイノリティ、だったんだね。
今なら、そう思うんだ。
米津玄師さんのがらくたを聴くと、私はいつも泣いてしまうんだけど、今は特に、ここの歌詞が刺さって、ボロクソに泣く。
そうして、もう清算したはずなのに、今でも時々思い出してしまう、中学時代と言う、私にとっての昏い過去を。教室と言う「監獄」で過ごした、あの日々を。