Dress & Things #6
■PUSHROD(プッシュロッド)
福岡・九州を中心にモッズや60sなどをキーワードに繋がるコダワリのショップを紹介するコーナー“Dress&Things”。
第6回目は那珂川市にあるスクーターショップ“PUSHROD”をご紹介。
福岡でベスパやランブレッタなどのビンテージスクーターと言えばココ!
モジュールメンバーもみんなお世話になっているスクーターショップです。
店主・大倉貞俊さんにお店のコンセプトや由来をお伺いしスクーターはもとより、大倉さんの『アートの世界』にもスポットを当ててみました!
Texted & Photo by : 小野タケシ(module モジュール)
■店のコンセプト
ベスパ・ランブレッタの事なら『ゆりかごから墓場まで』
※レストア中のランブレッタLi-Ⅱ(実はボクのです笑)
※2階の作業場にはバラしたパーツもたくさん
※作業中で大倉さんが見当たらない場合は・・・(笑)
■店名の由来
プッシュロッドとは古いビンテージな乗り物の象徴的な部品で、現行の乗り物には使われていない部品の事。
創業当初、古いバイクの取り扱いがメインだったため命名。
※国道385号線沿いに現れる手作り感満載の佇まい
■主な取扱商品
・ベスパ、ランブレッタ、チャオ&モペッド
※新車から中古車、ビンテージモデルも多数あり
・他にも車両のパーツ類の取り扱いもあり
※店内にはスクーターが所狭しと並ぶ
■PUSHRODの歴史
創業は1995年。
元々はベスパやランブレッタだけではなく『古いバイク』を取り扱おうとスタート。
高宮にあったハーレー屋の社長の計らいで、創業当初からベスパを取り扱う。
当初から海外への買い付けにも行き、ベスパだけでなく古いバイク全般のカスタムも色々と行う。
90年代初頭はモッズカルチャーの流行もあり「ビンテージベスパが欲しい」との声が多くなりベスパの買い付けが増えて来たので、3年後に『ベスパ・ランブレッタ専門店』にシフトする。
ちなみに大倉さんのベスパとの出会いはと言うと・・・
「高校2年か3年の頃、オートバイ雑誌の特集の “ 世界のオートバイ ” で見たベスパ125 ET-3 プリマヴェーラでした。スクーター形状でギア付き、空冷単気筒エンジン搭載で最高時速90km/hとパワーもある!なんて魅力的なんだ!と思ったのが出会いだった。」との事。
大倉さんの年代的(1964年生まれ)に1970年代後半の頃の125 ET3 プリマヴェーラだったと思われますね。
※VESPA 125 ET3 primavera
■アートの世界
大倉さんはアート・物作りの趣味が高じて、絵画の個展を開いたり、色んな『モノ』の制作も行っている。
「元々、絵を描く事が好きで美術系の大学へ進学し絵描きを目指していた。」と言う大倉さん。
「油絵、抽象画が主ではあるが、平面の中に『立体的』な表現をした、あくまでも『絵画』を作成している。」との事。
キャンバスに油絵を描き、そこへ鉄をくっつけたりとした作品は本当に独創的ですね!
※この作品は国立新美術館へも展示されたもの
※油絵の上に溶かした鉄をくっつけた、動きのある作品の数々。大きさは、たたみ一畳くらいあるので圧倒的な迫力で見る者を惹きこむ
※2019年5月の個展の模様
(フライヤーデザイン:デザインのとも)
※Dress&Things#5で紹介したモア キモノファッション学院の看板も大倉さんが作成(ロゴデザイン:デザインのとも)
絵だけではなく、様々な『モノ』も作成している。
※店内には色んなモノを無造作だけど味のある展示
これは何だろう?聞いてみると・・・
「ぶるぶるマシン!!!」と満面の笑みで答える大倉さん(笑)。
「顔料を調合する際に、沈殿させる時に使用する。」との事。
ぶるぶる震えさせて顔料が沈殿しやすくなるわけですね!
このマシンも自身で作った『モノ』。
「モノづくりをする為に使う『モノ(道具)』を作るのが好き。」と様々なモノを作成している。
これは圧を測定するマシン。もちろん自作!
他には・・・
見ての通りルーペ!レンズは既製品だが、周りの枠をお客さんからの要望に合わせて作成。
これは木製のスプーン。
このスプーンに関する面白い話も飛びだした。
「本当はスプーンを作って展覧会するつもりも販売するつもりも無かったんよ(笑)。実はスプーンを作るための『モノ(道具)』を作ってみたいと思い作っていた所、たまたま知人が興味を持ち話しているうちに『あれ?なんか道具じゃなくてスプーンの話しになってる。』と気付いたらスプーンの展覧会になってた。」と笑う大倉さん。
様々な『モノ』が出来上がって行く作業場はこんな感じ
他に今、力を入れているのがバイオリン制作。
知人から譲り受けたボロボロのバイオリンを独学で構造などを勉強し、リペアや作成をしている。
もちろんバイオリン作成のための『モノ(道具)』も自身で作る!
一枚の木の板から削り出してバイオリンのボディが出来上がって行くんですね。
その他にはガリ版での版画も。
もちろん版画を刷るための『ガリ版』も自身で作成。
もう一つ趣味が高じて挑戦しているのがこれ!
金継ぎです。
割れた陶器などをくっつけて元の形に成型し、そこへ金粉を施す。かなり細かく時間のかかる作業ですね。
金継ぎに使う『モノ(道具)』ももちろん自身で作成!
「金継ぎは商売にすると言うより、頼まれたら代金を頂くようにするって感じです。現在はお金ではなく代金の代わりにモノを貰ってます(笑)」と。
「こんな事やってると本業のスクーターは?と言われるかもしれないですが、心配しないでください!『モノづくり』や趣味など本業以外の事は、定休日の火曜日だけしかやりませんから。ちなみに木曜日は店を閉めて、朝から晩までベスパやランブレッタの板金塗装をしています。」との事です。
スクーターにしても絵画やモノづくりなどにしても、とにかくトコトンこだわりまくる大倉さん。
ゼロから、ないしマイナスから作り上げていく、こだわり振りは本当に脱帽です。
こんな大倉さんだからこそ、スクーターも安心して預ける事が出来ると思います。パーツをバラして、ひとつひとつ丁寧に妥協無く組み上げていく。
本当に素晴らしいものが出来てくる事間違いなし!と取材をさせて頂いて、改めて感じました!
ボクのLi-Ⅱが仕上がるのも、とても楽しみです(笑)。
※余談。
スクーターの事やアートの事などなど、色々な話を聞いたのですが・・・。ココには書けないような壮絶!?な人生のお話もたくさん聞けました(笑)。
興味のある方は、是非ふらりと差し入れでも持って行ってみてくださいね~!
■ショップデータ
PUSHUROD(プッシュロッド)
住所:福岡県那珂川市片縄8丁目26
TEL:092-953-5615
営業時間:11時~18時
定休日:火曜日・木曜日
オフィシャルページ
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プライベートInstagram:趣味の世界はコチラ!