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化学薬品メーカーが地元・和歌山で取り組む、社員参加型の森づくりとは|三木理研工業の戻り苗活用事例

「化学薬品メーカーが苗木を育てる?」

少し意外に思われるかもしれません。三木理研工業は、和歌山に本社を構える化学薬品開発製造メーカー。地域と環境への貢献を考え、「MODRINAE(戻り苗)」に取り組んでいます。今回は、その導入背景と今目指している未来を、三木理研工業株式会社 製造部 三木裕介さんにお伺いしました。

一番左:今回お話をお伺いした三木 裕介さん

三木理研工業株式会社について
1976年創業の、産業資材建材用薬剤と繊維用仕上げ剤を中心とした化学薬品開発製造メーカー。住まいと装い、生活に欠かせないこの2つの分野を中心に、日常生活から健康、環境といった様々な問題を解決する製品を生み出し続けている。

https://www.mikiriken.co.jp/

取り組み内容|戻り苗を育て、地元・和歌山との繋がりを深める

三木理研工業は、和歌山県和歌山市に本社を構える化学薬品開発製造メーカーです。環境保全と地域貢献の一環として、2022年に「MODRINAE(以下、戻り苗)」に参加。希望制で参加者を募り、10本の苗木を導入しました。2025年には第二期として新たに10本の苗木を育成予定です。

導入いただいた戻り苗と、育ててくださっている社員の方々

第一期で育った苗木の植林には、三木様にもご参加いただきました。

植樹の様子
植樹の様子

導入背景|自然は驚異。でも、ひとりでは何もできない

きっかけは、和歌山市の伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)で開催される「みどりの風」というイベントでした。ここは『日本書紀』にも記される「五十猛命(いたけるのみこと)」を祀る神社で、木の神様として知られています。「みどりの風」は、木育・木工・自然体験イベントが盛り込まれた環境意識を高める場です。

このイベントにスタッフとして参加した際、土砂災害による人的被害ゼロを目指すソマノベースさんと出会い、ビジョンに共感したことが、戻り苗導入の決め手でした。

みどりの風の様子

2011年の紀伊半島大水害では、記録的な豪雨により土砂災害に見舞われました。和歌山市に本社を構える私たちも他人事ではありませんでした。私の町は無事でしたが、大きな被害を受けた地域も多く、私も復興のために2日間現場に入りました。2階まで埋まった家屋、折れた電柱......そこで見た惨状は、すさまじいもので、今でも忘れられません。自然は美しく多くの恵みをもたらしてくれますが、脅威でもあることを改めて感じさせられました。

2011年9月に発生した紀伊半島大水害の様子 提供:国土交通省近畿地方整備局

ソマノベースさんもこの災害を経験し、「土砂災害による人的被害ゼロ」を目指して活動していました。その話を聞いたとき、共感とともに、私たち企業も何かできるはずだと感じたのです。

自然は驚異です。自分や家族、地域を守ることを考えてみると、ひとりではできないことが多いと痛感します。だからこそ、私は復興の手伝いに行きました。しかし、被災後の支援だけではなく、被災を未然に防ぐための取り組みも同じくらい重要です。できることがあるなら、仲間と力を合わせて行動したい......そう考え、「戻り苗」に参加することを決めました。

取り組んだ結果|戻り苗で生まれる、部署横断のコミュニケーション

まずは手挙げ制で参加者を募集し、10名ほどで育て始めました。製造部、事務部など部署は様々。参加理由も「植物を育てるのが好き」「なんとなく面白そう」とバラバラでした。

しかし、予想以上に社内のコミュニケーションが活発になりました。「そっちの苗木、元気ないね?」「こっちは日当たり調整してるよ!」といった日常的な会話が生まれ、部署を超えた繋がりが強まりました。

グループLINEでも、戻り苗を育てるメンバーのグループが出来上がり、情報交換をしたりしています。

LINEでのやりとりの様子

三木理研工業では、組織に横串を通す取り組みを大切にしています。縦割り組織になりがちな中で、こうした活動が風通しの良い社内文化を作るきっかけになっています。

第二期には、社長や役員も「育ててみたい」と参加を希望し、さらに広がりを見せています。

目指したい未来|地域や業界での挑戦へ

戻り苗に参加する理由は人それぞれで構いません。「環境保全のため」「SDGsの一環として」「なんとなく楽しそう」どんな理由でもいいのです。

しかし、私たちは単なる社会貢献活動で終わらせたくないと思っています。

① 和歌山という地域の自然を理解するきっかけに

和歌山は山々に囲まれ、豊かな自然の恩恵を受ける一方で、災害リスクとも隣り合わせの地域です。「戻り苗」は、地域の自然の魅力や課題について理解を深めるきっかけになっています。三木理研工業には県外出身の社員も多くいますが、この取り組みを通じて、和歌山の自然や環境への関心を高め、地域とのつながりをより深めてもらえたらと考えています。

② 社外との繋がりを強化し、地域や業界全体で取り組みを推進

三木理研工業は化学薬品メーカーとして、化学の力で生活を豊かにすることを使命としています。裏を返せば、困りごとをなくしていくことです。私たちは木材産業とも関わりがあります。戻り苗を通して山に関する課題解決(困りごと)にも貢献できる可能性があります。

先日参加した合同植樹祭では、同じ課題意識を持つ企業と多く出会いました。この繋がりを広げ、地域や業界全体で取り組みを進めていきたいと考えています。

合同植樹祭でのワークショップの様子

③ 挑戦する風土を育む

三木理研工業には、様々な価値観を持った社員がいます。職人気質な人もいれば、新しい挑戦をしたい人もいる。「戻り苗」の活動を通じて、チャレンジを歓迎する企業文化を育てていきたいと思います。

環境を守ることが、地域を守ることに繋がる。
そして、その輪を広げることで、私たちの事業にも新しい可能性が生まれる。そう信じて、この取り組みを続けていきます。



私たちソマノベースも和歌山県に拠点をおく会社です。同じ和歌山の企業様とともに、未来の森づくりができること、とても嬉しく思っています。地域のつながりをともに深めていきたいと思っています!

戻り苗や森づくりに興味をお持ちいただいた方は、ぜひお気軽にソマノベース(info@somanobase.com)までご連絡ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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