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[サントリーホール サマーフェスティバル2022]テーマ作曲家 イザベル・ムンドリー オーケストラ・ポートレート(委嘱新作初演演奏会)

•イザベル・ムンドリー(1963~ ):
『終わりなき堆積』室内オーケストラのための(2018/19)
•クロード・ドビュッシー(1862~1918):舞踊詩『遊戯』オーケストラのための(1912~13)
•フィリップ・クリストフ・マイヤー(1995~ ):『Dear Haunting』オーケストラのための(2020)世界初演
•イザベル・ムンドリー:『身ぶり』ヴィオラとオーケストラのための(2022)*サントリーホール、バイエルン放送/musica viva共同委嘱世界初演

ヴィオラ:ニルス・メンケマイヤー*
指揮:ミヒャエル・ヴェンデベルク
東京交響楽団

ムンドリー…3つの部分から成るが、テンポが少し変わるのみで全部同じ。室内楽作品とまるで同様で、基本は打撃音→他の楽器が維持→フレーズの展開、というパターンの繰り返しか変形が延々と続く。第2部で、アインザッツが揃わないことが何回かあった。指揮の問題か。

ドビュッシー…バレエ音楽で、次々に細かく楽想が入れ替わるのだけれど、ただ拍子とテンポが変わるだけでずっと一本調子。これではバレエが成り立たないのではないか。前半はどうにもアンサンブルが緩く、一曲目に引き続き音の出が揃わない。後半に入ってようやく少し生気が出てきた。

マイヤー…プログラム•ノートにはオーケストラという器楽体を見直すとも読めるステートメントがあり、エレクトリック•ギターがオーケストラを「浸潤」するなどとある。ギターは確かにハウリング•ノイズを出したりするのだけれど、結局趣向の一つにとどまり、たとえばベリオの「レンダリング」でのチェレスタのようにオーケストラの音を異化するといった境地には遠い。曲の半ばほどでミニマル風になる、ハープがプラスチック片で簡易プリパレーションをするなど、さまざまな要素を含みつつも月並みな音楽に終始した(「世界初演」との由、実演を経ていない作品を選んだのだ)。

ムンドリー…演奏に先立ち、作曲者と指揮者により、実演を交えながらの解説があった。が、数回あらわれる下降音型をして「身ぶり」というのはあまりにも単純な発想であろう。身ぶりにはなんらかの動きの予兆、ないし既に消失した動きの残滓など複数の意味合いが重なる、といった趣旨のことがプログラム•ノートには記されている。しかし、せっかくさまざまな思索を重ねているのに、そういった輻輳するニュアンスを音で描くまでには至らず、ずっと平坦なまま、類似の楽想が繰り返されていき、表面的なところで終わった。

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室内楽を聴いて覚悟はしていたけれど、正直なところ、がっかりした。本フェスティバルの「テーマ作曲家」シリーズは、"委嘱新作+既存作+作曲家自身が影響を受けた作曲家の作+自身が推薦する若手の作"というフォーマットを初回から頑なに守り続けている。かつて、オールラウンドな力のある作家に依頼できていた頃はこの形式が健全に機能しており、ここから生まれた重要な作品も多数ある。だけれど、"大家無き"時代に入って久しい今、これだけ手間暇と予算をかけるのだから、この催しを本当に大切にするならば、企画のあり方を大きく見直すべきだと思う。(8/28 サントリーホール•大ホール)

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