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FRJ2025オンデマンド視聴レポート #8
FRJ2025のオンデマンドセッションを視聴しての感想を、ネタバレしない程度にレポートします。
FRJ2025とは?
FRJ2025は、NPO/NGOはじめ、企業、大学、行政、財団などで社会課題解決に立ち向かうプレイヤーが1000人規模で集う、日本最大のファンドレイジングカンファレンスです。国内外の寄付やインパクト投資のトレンドや実務にすぐに役立つファンドレイジングの最新事例を学ぶことができます。
(公式サイトより)
2025年1月18日開催の対面イベントと、2024年12月20日から開催のオンラインイベントのハイブリッドのイベントです。私は、対面イベントのボランティアとして参加するので、オンラインだけエントリーしました。
今回のレポートは、
寄付×テック最前線〜寄付する人はどうすれば増えるのか〜 です
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講師(パネラー)は、佐藤正隆さん、小室拓巳さんです。
このセッションは、お二人のディスカッションをメインとした内容でオンデマンドながらライブ感溢れるセッションでした。
寄付の仲介についての2つの領域
事業者が支援者に対して寄付を募る際の手法として2つの領域に分類した紹介がありました。
ひとつは、寄付募集側がなんらかのサービスを使って寄付促進を行う領域。サービス事業者は寄付募集にまつわる様々な課題を解決することで、寄付促進を図ってきたということです。具体的にはコングラントや、Yahooネット基金等のサービスです。
もうひとつは、日々の生活導線でついでに寄付をしてもらうことで寄付促進を行う領域。具体的には、コンビニのレジ横にある募金箱に釣り銭を入れるといったことです。
私は、今まで後者の方が経験することが多かったです。前者は寄付やファンドレイジングに興味を持つようになって初めてサービスを利用した感じです。最近だとコングラントのminpoというアプリでのチャリティウォークに参加しました。このケースだと、趣味のウォーキングのついでに寄付という感覚でしたので、寄付の促進には何かのついでに行ってもらえるようデザインし、テック系のサービスがその行動を起こしやすくする役割、というイメージが湧きました。
どうすれば寄付は増えるのか?
セッションはこの問いについてのディスカッションで進行されます。寄付を増やすための要素としては、寄付者を増やす、寄付者の寄付の頻度を高める、が挙げられており、このディスカッションでは、如何に寄付の頻度を高めるかということについて先の2つの領域でどう取り組むべきかディスカッションされていました。
私が印象に残ったのは、寄付者ファーストの視点に立つこと、です。寄付者に気持ちよく寄付してもらうには?を考えるうえで、寄付者がどんな動機で寄付するのか、さらには日本人の特性にあった寄付の文化とは?といった視点にまで踏み込んでディスカッションが展開されました。
既存の寄付サービスで、寄付頻度を高める仕掛けとして秀逸なものとして、イオンの黄色いレシートを例に取り上げていました。私の近所にはイオンがないので知りませんでしたが、買い物した時に発行される黄色いレシートを応援したい団体を選んで投函すると、購入金額の1%ぶんの品物をその団体に寄付するというものだそうです。
こういった買い物のついでに寄付といった仕掛けをイオン以外のスーパーにも導入するよう汎用性を持たせた仕組みにしていくことが重要というお話をされていました。確かに、ふるさと納税もいくつもエントリーのサイトがありますが、根底には、制度や仕組みがあり汎用化されたサービスであるので、利用者が特定のサイトに縛られることなく、応援したい自治体に納税できるサイトを選びやすいのかなと感じました。サイトによってルールや手続きが違うと面倒ですしね。
感想・学び
テックの観点のお話は少なめでしたが、寄付行動を促すための本質を考える機会になりました。講師のお二人の寄付市場を活性化させたいという想いが伝わってくるセッションでした。寄付の頻度を高めるためには、寄付者の視点に立って、サービス開発を行う必要があり、寄付の分野ではまだまだ可能性があることも理解できました。寄付は善意や利他の精神によるものと思いますが、その気持ちに頼るだけでは寄付の頻度を高めることはできない、という前提に立ち、寄付者がワクワクするような寄付体験を提供すること、しかもストレスなく、という視点でどうデザインすべきか?そして、そのサービスをテックを使ってどのように実現すべきか、まずは焦点を合わせられたので次は、解像度を上げて考えてみたいと思いました。