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【京都の駒札71】岩上(いわがみ)神社
伝えによれば、二条堀川付近にあった霊石が六角通(岩上通六角辺り)に遷され、さらに中和門院(後陽成天皇の女御の一人で後水尾天皇の母)の屋敷の池の畔に遷されると怪異な現象が起きたという。吼え出したり、すすり泣いたり、子供に化けたり、の類である。子供に化けたという伝説に因んで「禿童石」と呼ばれたこともあったという。
持て余した女官たちが遂にたまりかねて蓮乗院という真言宗の僧を召したところ、彼はその石を貰い受け、現在地に遷して祀ったという。その際に「有乳山 岩上寺」と称した。以降、授乳、子育ての信仰を集め、地元では「岩上さん」と親しみを込めて呼ばれている。
寺は享保十五年(一七三〇)の大火事「西陣焼け」で堂舎が焼かれ、天明八年(一七八八)の「天明の大火」では荒廃の極みに達した。
明治維新の際には廃寺となったが、大正年間に織物業の千切屋が敷地内に祠を構え、以降「岩上神社(岩上祠)」となって今に至る。数奇な運命を経た霊石だけは昔の姿そのままで現在に伝わる。
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