
【京都の駒札58】栂尾山高山寺石水院(とがのおさんこうさんじせきすいいん)
高山寺は、建永元年(一二〇六)、明恵上人が後鳥羽上皇の勅願によりこの地を賜り、華厳宗の道場として中興開山した寺院である。草創以来、皇族・公卿・武士の要人たちの庇護の元、学問寺として興隆した。寺宝は典籍を中核に、国宝・重要文化財を含む一万二千点余が伝わる。平成六年(一九九四)、世界文化遺産に登録された。
石水院(国宝 鎌倉時代)は、明恵上人時代の唯一の遺構であり、上人が後鳥羽上皇より学問所を賜ったものとされる。簡素な佇まいの寝殿造風住宅建築である。明治二十二年(一八八九)、金堂の東より現在地へと移築された。西正面は、かつて春日明神・住吉明神の拝殿であったところで、今は善財童子像が置かれている。欄間には、富岡鉄斎筆の木額「石水院」がかかる。南面内部には、寺号の由来となった後鳥羽上皇の勅額「日出先照高山之寺」や、明恵上人筆とされる木額「阿留辺畿夜宇和」が当時より伝わる。

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