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【京都の駒札⑨】清凉寺(嵯峨釈迦堂)

 五台山ごだいさんと号する浄土宗の古刹こさつで、「嵯峨釈迦堂」の名で知られている。
 この地には、一説では『源氏物語』の主人公の光源氏ひかるげんじのモデルであったといわれる源融みなもとのとおるの山荘、棲霞観せいかかんがあり、融の没後、棲霞寺せいかじとしたのが当寺の始まりである。天慶てんぎょう八年(九四五)に等身大の釈迦像が安置され、これが通称の由来ともいわれている。
 その後、インド、中国、日本の三国伝来となる釈迦如来立像を持って宋(中国)から帰国した奝然上人ちょうねんしょうにんが、その像を安置するため、愛宕山あたごやまを中国の五台山に見立てた「大清凉寺」の建立を計画したが、志半ばで没したため、弟子の盛算じょうさんが清凉寺を建立して像を安置した。
 昭和二十八年(一九五三)、背中にふたが発見され、中に内蔵を模した絹製の五臓六腑ごぞうろっぷなどが納められていたことから、生身のお釈迦様とも呼ばれている。
 本堂は、元禄げんろく十四年(一七〇一)に徳川五代将軍綱吉つなよし、その母桂昌院けいしょういんらの発起により再建されたもので、本尊の釈迦如来立像(国宝)を安置しており、霊宝館には、阿弥陀三尊像(国宝)、文殊菩薩騎獅もんじゅぼさつきし像(重要文化財)等、多数の文化財がまつられている。
 このほか、境内には、奝然上人、源融、嵯峨天皇、檀林だんりん皇后の墓などがある。

2019年1月4日撮影


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