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【京都の駒札⑦】鞍馬寺(くらまでら)
奈良、唐招提寺の開山鑑真和上の高弟、鑑禎上人が、宝亀元年(七七〇)、鞍を負った白馬の導きで当山に至り、毘沙門天を感得して草庵を結んだのが始まりである。
延暦十五年(七九六)には、藤原伊勢人が王城鎮護の道場として伽藍を造営し、爾来、衆庶の信仰を集めてきた。
現在は鞍馬弘教の総本山であり、宇宙の大霊・尊天を本尊とする信仰の浄域である。
山の精霊である天狗が住む山としても有名で、貴船へと続く参道には、豊かな大自然の中に、牛若丸(源義経)ゆかりの「息次ぎの水」や「背比べ石」、枕草子に記された「九十九折り」などの名勝古跡が散在し、多くの文学作品にも登場する。
「初寅大祭」や「竹伐り会式」など由緒ある年中行事も多く、春の花に始まり、夏は全山緑に包まれ、秋は紅葉の彩り、冬は雪景色と四季折々の風情ある佇まいは、訪れる人々の心に安らぎを与えている。
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