【京都の駒札㉙】地蔵院（じぞういん）

　衣笠山きぬがさやまと号する臨済禅宗の寺で、通称、谷の地蔵、又は、竹の寺とも呼ばれている。
　この地には、もと歌人の衣笠内大臣藤原ふじわらの家良いえよしの山荘があったが、家良の没後、貞治六年（一三六七）に、管領の細川ほそかわ頼之よりゆきが、宗鏡そうきょう禅師に深く帰依して当寺を創建した。宗鏡は、恩師夢窓むそう国師を開山に請じて、自らは第二世となった。
　以後、当寺は、細川家の庇護を受け、次々と伽藍を建立し、境内塔頭三院、末寺二三寺を数える一大禅刹となったが、応仁の乱により諸堂悉く焼失してしまった。その後、江戸時代の貞享三年（一六八六）に、第一四世古霊和尚によって寺観が整えられた。
　現在の本堂（地蔵堂）は昭和一〇年（一九三五）に再建したもので、堂内には、本尊の延命安産地蔵菩薩のほか、夢窓国師、宗鏡禅師、細川頼之の木像を安置している。また、方丈前には「十六じゅうろく羅漢らかんの庭」と呼ばれる枯山水庭園があり、本堂南には、宗鏡禅師、細川頼之の墓がある。尚、一休禅師が幼少の頃修養された寺でもある。

2021年1月3日撮影