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わかったつもり〜読解力がつかない本当の原因〜(光文社新書:西林克彦 著) 読書感想文2

第1章 「読み」が深まらないのはなぜか?


 ではなぜ『もしもしお母さん』では、読み手はもっとわかろうとしなかったのか。

 それは、「わかったつもり」の状態になっていたから。

 「わかったつもり」は一種の安定状態だから、それ以上わかろうとはしない。

 反対に、はっきり「わからない」状態であるならば、わかろうとすることはできる。

 本書では、「わからない」の例として、二十四節気について事典で調べたものを引用している。

「二十四節気は、太陰太陽暦を使用してきた中国の暦法の場合、各月を決定し季節を知るうえでの目印であった。」(平凡社『世界大百科事典』第2版)

「わかったつもり」 p38

 この説明を読むと、「太陰太陽暦」や「各月を決定し」の意味がわからない。

 つまり、「部分間の関連がつかない状態」である、と。

 こういった状態であるならば、まだ、わかろうとすることはできる。

 だが、「わかったつもり」では、「わからない」という自覚がないため、これ以上わかろうとはしないのだ。


 さて、この安定状態をいかに壊すのか。

 これは難しい。

 国語の読解の授業ではここをやるべきである。

 これについて次回、考えていくことにしよう!

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