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長月スピカ
2022年7月22日 22:04
序 1昭和40年。1台の乗用車が、国道168線を北上していた。和歌山県の那智勝浦を発って4時間、十津川を過ぎて、車は谷瀬にかかる所であった。国道とはいえ、168号線の路面はお世話にも良いとは言えない。舗装されている所はほとんど無い。凹凸が激しく、雨の後は水溜りが道を覆う。山間を縫う道は細く、カーブも急で運転は困難である。奈良の五条に出る168号線は、右手は落石の恐れのある山