Residanceという滞在型の活動
フランスでダンス活動をしていると、レジデンス(residance)という言葉に初め何度か出会いました。
レジデンスはものにもよりますが、一応は作品完結にむけて集中できるいいシステムだと思います。
【レジデンスとは】
日本語でレジデンスと聞くと、レジデンシャルアパートとかレジデンシャルホテルとか、住む場所というイメージがあると思います。滞在ですね。
フランス語も滞在という言葉に当てはまりますが、アーティスト界隈でのレジデンスとは滞在型クリエイションのことをさします。
有名なところで言うと、59 Rivoli(リボリ通り59番地)は日本人アーティストが滞在しつつアート制作をしていることが多くあります。日本のテレビで取材されていた方もいました。
【どうやって参加するの?】
方法は3つです。
1 appel candidature
2 participer creation
3 compagnie
1 appel candidature(募集)
これが一番目にすると思います。インスタだったりレジデンスを毎年やっている場所のサイトや毎年やっているイベントのサイトを覗くと、募集という項目があります。ここで自分の作品、経歴、滞在中のクリエイションの目的などを書いて送信します。もしくはテーマに沿って募集されたりもするので、そのテーマに合っていると思ったらCVなどを送り(postuler)ます。
音楽やダンス関係で私がよく見る、そして行ってみたいと密かに憧れているのがRoyaumont abbaye et fondationですね。abbeyeというくらいなのでかつての修道院(今も修道院として機能しているかも?)なのですが、毎年レジデンス募集が出てます。緑に囲まれて美しい修道院の中、クリエイションを行う・・・なんだか体が清浄化されそうです。
音楽やダンス以外のart plastique(造形)や絵画系でしたら、先ほどの59Rivoliは本当に頻繁に募集がかかるのでいいかもしれません。あとは有名どころでいうとcité internationale des artsでしょうか。世界中のアーティストが住んでます。本当に寮みたいになっていて、同じ敷地内に企画展示できる大きなスペースもあります。アート留学でくる方の大半がこちらでレジデンスをしている気がしますね。
2 participer creation
ここからはダンス界隈でのレジデンスでお話ししていきます。これは、ある作品を発表したい・もしくは作りたいのでそのインスピレーションを得るために作品作りに参加する子募集というものです。多くは滞在最終日に成果発表をしたりします。うまくいくとそのあとその振付家やカンパニーに入ることもできます。
これは難しいですね。何がというと、カンパニーでやっているクリエイションであればそのカンパニーの色濃い作品を一緒に作るので、その基本がしっかりできていることが条件になります。。が、刺激的で楽しい滞在になるでしょう。
もし個人の振付家の場合だと、この振付家の器量によります。キャリアが長い方なら、どうダンサーをガイドするか、自分のイマジネーションの言語化がうまいのでいい滞在になりますが、経験が浅いと大惨事です。そしてこのタイプが往々にして多いのです・・・
私の同級生にもレジデンスに立候補してとある田舎に行ってきたのですが、途中で帰ってきてました。学校に来ないと言ってたのにあれ?と聞くと、振付家のガイドがめちゃくちゃで何も進まないから意味ないので戻ってきたと言ってました。ワォ・・
3 compagnie
これは言わずもがな、所属カンパニーで主体的にレジデンスに参加というタイプですね。私はサブで参加しているカンパニーの方で3回ほど、2つは田舎、1つはパリのアートセンターで行いました。
目的は当時製作中だったとあるダンス劇のクリエイションです。話の主軸が当時決まっていなかったので、面白いパートをたくさん作ることができたものの話はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、くねくねと曲がっていきました。最終日はなんとかレジデンスさせていただいた宿泊先の田舎で、その地域の人たちにお披露目をしていい思い出にはなりましたが意見の出し合い・喧嘩にも発展したりして大変でした・・
【レジデンスのメリット】
ちょっと暗い感じのイメージで書いてしまいましたが、レジデンス自体は素晴らしいです!まずパリのレジデンスの場合、アート生活に集中できるということはもちろん、もしレジデンスが1年以上続くプロジェクトの場合これでアートヴィザが出ます。
田舎滞在型のレジデンスは最高です。綺麗な空気、美味しい新鮮な食べ物・・・そんな中制作に集中するのです。アーティストにとって理想的な環境と言えるでしょう。
どうでしょう、レジデンスに挑戦してみたくなりましたか?アートと言っても幅広いですからね。詩や本の作家さん対象のレジデンスもありますし、撮影メインのレジデンスもプロジェクトあったりします。これを機にレジデンスに参加してみませんか?
それでは、良い一日をお過ごしください。