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土を耕すという「技芸」

「倫理は技芸である」

それは土を耕す技である。
硬い地面にただ正しさを押し付けても、種は芽を出さない。
土を掘り起こし、柔らかさを生み、雨や光が染み込む道を作る。
触れすぎれば壊れ、放置すれば荒れる、その間を探りながら手を動かす。
道具はマニュアルではない。

感覚だ。

手のひらの記憶だ。

そして、何度も試して芽が出るのを待つ忍
耐だ。

倫理という技芸は、収穫を約束しない。

むしろ、耕すたびに新しい大地を作り、その先に芽生える可能性を託す。

「どう生きるべきか」ではなく、
「どう土を育てるか」

「どう新しい生命を迎えるか」を問い続ける営みが倫理である。

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