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8 なんちゃって図像学 帚木の巻(2)
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5 左大臣邸にて 気位高い葵上 と 気を遣う左大臣
ようやく雨も上がり、源氏は左大臣邸へ退出しました。
🏠 左大臣邸で
☕ 正妻: 左大臣邸は隅々まで美しく整えられていて、そこにいる正妻葵上の様子も非の打ち所なく上品に優美です。
源氏は、こういう人こそが皆が話していた信頼すべき妻というものなのだろうと思う一方で、いつもあまりに端正なまま打ち解けず冷静でいられるのは気詰まりで何か不満です。
☕ お手付きの?女房: 源氏は、中納言の君や中務といった目ぼしい女房達に飽くことなく戯れかけています。女房達は、暑さに部屋着をくつろげてしどけない姿の源氏の様子に見惚れています。
☕ 舅 左大臣: 婿殿の還御と聞いて左大臣が夫婦の居間にやってきますが、源氏がしどけなく部屋着でくつろいでいると聞き、遠慮して几帳越しに話します。
几帳で風が通らなくなるので源氏は顔をしかめ、それを見て女房達が笑うのをたしなめて鷹揚に脇息に寄ります。
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📌 この場面を描いた線画では、葵上は御帳台の幕の中の一段高い浜床に座っています。
夫婦の寝台というより玉座のように見えます。葵上の気位高い打ち解けなさの表現なのでしょう。
御帳台とは天蓋付きベッドのように思っていましたが、上座のニュアンスもあるのでしょうかね。
左大臣を父、桐壺帝と同腹の皇女を母として后がねとして育てられた葵上の気位は高く、親王宣下さえ受けていない皇子から臣籍降下した年下の源氏など愛や敬意の対象ではなかったのでしょうか。
🌷🌷🌷『左大臣邸 葵上との不仲 左大臣の遠慮』の場の 目印 の 札 を並べてみた ▼
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📌 目の前で、着崩してしどけない姿の夫が、魅力的な女房たちとご機嫌にじゃれ合っていたら、正妻が幕に隔てられた一段高い『玉座』から降りる気もしないのも尤もかと思ってしまいます。
高慢で打ち解けない葵上のせいで夫婦仲がしっくりいかないと言われがちですが、葵上の気持ちは全く了解可能と思います。
・ 方塞がり
☕ 暗くなる頃に、
「今宵は、宮中からこちらに下がっていらしては方塞がりになります」「中川辺りの紀伊守邸は、最近水も引き入れ、涼しい木陰です」
という者があり、
源氏も、車のまま入れる家はありがたいと、紀伊守を呼び付けて今宵の仮寝を言い付けます。
📌 上国守である紀伊守は従五位下です。源氏は従四位下で格上ですから、牛車のまま中門を通り寝殿に横付けできるので、この暑い中歩かなくて済み、体が楽で助かると言っているのでしょうか。
門構えが広いから牛車を楽々入れられるというニュアンスもあるのかどうか。牛車も横付けできない家に源氏が方違えに行く可能性などは初めからないのでしょうかね。
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・ 中流の女への興味
☕ 紀伊守が承って下がったあと「慎み事があって、父 伊予守のところの女たちが大勢来ているので手狭になっている。失礼があったらどうしよう」と愚痴っていると聞いて、
源氏は、旅寝は寂しいものだから女たちの部屋の几帳の隅にでも寝かせてもらおうと、冗談めかしてはしゃいでいます。
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6 紀伊守邸 酒を振舞われる従者達
目立たぬよう挨拶もせずに、僅かな供だけを連れて左大臣を出て、紀伊守邸に向かいました。
🏠 紀伊守邸で
紀伊守は急ごしらえの客間を寝殿東面に急ぎ設えさせ、
従者たちは早速、泉の湧く涼しい渡殿で酒を振舞われています。
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🌷🌷🌷『紀伊守邸 酒を振舞われる従者達』の場の 目印 の 札 を並べてみた ▼
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7 紀伊守邸 女房達の噂話を立ち聞きする源氏
例の雨夜の品定めで面白いと聞いた中流の女のいる家にそそられている上に、今来ている紀伊守の若い義母は入内の望みも持っていたほどの出自賤しからぬ女だという噂も聞いていたので、源氏は興味津々です。
邸の者は源氏の接待準備に大わらわ、従者達は渡殿で酒宴、というエアポケットのような時間に、一人東面の座敷にいる源氏は、ふと西側の襖の向こう側の女房たちの噂話に聞き耳を立てることになります。
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🌷🌷🌷『紀伊守邸 女房達の噂話を立ち聞く』の場の 目印 の 札 を並べてみた ▼
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程度の低い噂話に失望し興味を失いつつも、源氏は、自分の藤壺宮への思慕を知られたら世間からどんな指弾を受けることかという怖れを抱きます。
眞斗通つぐ美
📌 まとめ
・遠慮する左大臣
https://x.com/Tokonatsu54/status/1710898455982571530?s=20
・紀伊守邸で酒を振舞われる従者達
https://x.com/Tokonatsu54/status/1710899410874589465?s=20
・紀伊守邸で女房の話を盗み聞く源氏
https://x.com/Tokonatsu54/status/1710902136794705927?s=20