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源氏物語 帚木の巻 概略1(雨夜の品定め)


・ 雨夜の品定め 源氏と頭中将で

源氏は17歳です。
五月雨の頃の宮中の宿直の夜、いつものように頭中将が来て、厨子棚の女達からの恋文を勝手に取り出してあれこれ批評しています。
頭中将は6歳上葵上の兄ですが、学問技芸、何につけても競い合う親しい友です。

頭中将は、個性が見えて面白いのは中流の女だと言います。

・ 雨夜の品定め 佐馬頭と藤式部丞が加わる

左馬頭藤式部丞が加わります。
伊達男の名の高い人たちですから、頭中将は喜んで迎え入れて、盛んな女談議が始まります。

「相手が浮気者でもこちらが誠実に待っていれば戻ることもあるのでしょうかね」と、頭中将が男女を入れ替えて妹の葵上と源氏の間を仄めかすようなことを言います。
源氏は目を閉じて何も聞こえない様子でいます。

・ 雨夜の品定め 左馬頭の体験談 嫉妬深い女

左馬頭が、『嫉妬深い女』の体験談を始めます。

篤実ながら不美人な世話女房の激しい独占欲を鬱陶しく思っていた左馬頭は、世話女房を言いなりの女と甘く見て、別れ話で脅そうとしました。
別れ話を切り出すと女は逆上して左馬頭の指を噛みました。
怒って飛び出したものの別れられるわけがないと高を括っているうちに、女は失意のうちに亡くなりました。
あんないい女房はいなかったと左馬頭は悔いています。

・ 雨夜の品定め 左馬頭の体験談 浮気な女

左馬頭が続けて『浮気な女』の体験談を話します。

『嫉妬深い女』と並行して付き合っていた綺麗な風流な女の話です。
ある月夜に朋輩を車に同乗させて送ってやると、行先はその女の家でした。
月を映す池移ろい菊散り敷く紅葉と、秋の風情の揃った庭で男が横笛を吹くと御簾の中から女のが呼応し、睦言めいた小洒落た遣り取りを重ねます。
一部始終を築地塀の崩れから覗いているうちに嫌気がさして、その女とは疎遠になりました。

・ 雨夜の品定め 頭中将の体験談 常夏の女

頭中将が悔いの多い『常夏の女』の話をします。
寄る辺ない女に忍んで通っているうちに愛しくなってきたのですが、恨み言を言わないので油断して途絶えがちになっているうちに、姿を消してしまいました。
後から聞けば、妻の方から後妻打ち(うわなりうち)の予告があって怯えて姿を消したらしいのでした。
その女との間には撫子のような愛らしい女児がいたのでどうしても探し出したいのですが、見つかりません。

・ 雨夜の品定め 藤式部丞の体験談 学のある女

藤式部丞が『学のある女』の話を始めます。
師事していた博士の娘ですが、学のある女でしたから、寝物語も学問のことで、漢詩文の読み書きもその女に教えられました。
しかし立派過ぎる女は煙たくて足が遠のいてしまい、久々に行くと恨み言は言わないが「風邪気味でニンニクを服しましたので、臭いの消えた頃おいでください」と几帳越しのよそよそしい扱い、という意趣返しをされました。

腹が立つやら臭いやらで飛び出しますと、「毎日来て下さっていたらニンニクの臭いぐらい恥ずかしくもなかったことでしょう」と使用人に追いかけさて言わせるので呆れました。

結局どんな女がいいという結論も出ないまま、四人は夜を明かしました。

Cf.『帚木の巻』雨夜の品定め

眞斗通つぐ美

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