源氏物語 帚木の巻 概略3(空蝉を襲う)
・ 紀伊守の必死の接待
源氏は、紀伊守に暗に夜伽の催促をします。
紀伊守の若い義母である空蝉の居場所をさりげなく尋ねると、紀伊守は「使用人は皆下がらせましたが、その空蝉殿などはまだ残っているかもしれません」と何か仄めかすような物言いをします。
・ 眠りこける従者達
渡殿で酒を振舞われていた従者たちは、酔って寝入ってしまいました。
・ 空蝉の寝所を窺う
女の添寝がないと眠れない源氏は、襖の向こうの人の気配で起き上がります。
どこにいるの?という男の子の声と返事をする声が聞こえ、空蝉の居場所が知れました。
・ 空蝉を襲う
空蝉は、慣れぬ邸が心細くて中将という女房を呼びますが、湯を使いに行っていて、空蝉は一人です。
声を出していた弟の小君は寝入ってしまったのか。
襖に鍵がかかっていないので、寝室に侵入して、唐櫃のゴタゴタした中に寝ている小柄な人を抱き上げて自分の客間に拉致しました。
中将をお呼びになったから来たのですよと、近衛中将である自分の機知に上機嫌です。
戻ってきた中将には、朝迎えに参れと告げて襖を閉めてしまいます。
・ 思いがけず空蝉に強く惹かれる
中流の女への好奇心のみからの狼藉で、一夜の慰みのつもりだったのですが、夜が更けるにつれ、初めて見る女の自我の主張に思いがけず惹かれていくことに戸惑いながら、甘い言葉と愛撫を尽くします。
空蝉は突然の美しい貴公子の求愛に身も心も解けて許しそうになってしまうのを必死に堪えて冷淡さを装います。
・ 後朝の別れ
夜明け近くに中将が迎えに来ますが、源氏は心残りで空蝉を離せません。
空蝉は不釣り合いが眩しく恥ずかしく、何もかも遠い虚ろな心でいます。
夫の伊予介のことが思われて空恐ろしい気持ちです。
源氏は、人知れぬ胸の痛みを抱えて、心残りのまま紀伊守の邸を出ます。
・ 小君の文遣い
源氏は空蝉の弟の小君を側近くに召し使うことにしました。
小君が源氏の文を届けます。
空蝉は、人の妻となる前ならばと嘆きながら、子供の不注意で醜名を被ることを怖れ、自重の決意を新たにします。
・ 身を隠す空蝉
源氏は、又の方違えの日を待って再び紀伊守邸に行きますが、今宵忍んで行くという文を受け取った空蝉は、渡殿の向こうの中将の局に隠れます。
・ 稚児としての小君
「女房たちの目もあり、お手引きなどできません」と言う小君を、「せめてお前だけは私を愛してくれよ」と源氏は引き寄せます。
甲斐なく冷淡な姉より却って可愛いと思えてきて、苛立つままに、従順な少年を抱き寄せ、愛しくも憎い姉を思いながら蹂躙します。
Cf.『帚木の巻』空蝉を襲う
眞斗通つぐ美