今日投稿すれば199日連続!圧巻!とのこと
読書感想文を書く。
人から聞いた話だ。漫才師の中田カウスが、こんなことを言った。
「漫才とは男同士がケンカしつつも仲が良いところを客に見せるものだ」
本当に言ったのは知らない。言っていることは間違っていない。
男同士の漫才はバディものだと思っている。
実際は不仲のコンビであっても、客前で見せなければ、それでいい。
それも含めた芸だ。幻想を売るプロの仕事だ。
こんなことを書くと漫才師が書いた本の感想文を綴ると誤解されるかもしれない。しかし、これから取り上げる話は、漫才がテーマではない。
童心社の絵本である。
『おしいれのぼうけん』(さく、ふるたはるひ、たばたせいいち)だ。
バディものの傑作だと思う。
主役の男の子二人は、騒動を起こして押し入れにぶち込まれた。おもちゃの取り合いでケンカしたのだ。そこは泣く子も黙る恐怖の押し入れだった。怖いねずみおばさんが出て来るのだ。すぐに屈する。二人を放り込んだ先生は、そう踏んでいた。ところがどっこい、二人は負けなかった。喧嘩の原因となったミニカーと、二人の友情の証であるミニきかんしゃのデゴイチの力を借りて、ねずみおばさん率いるねずみ軍団を敗走させるのである。
このラスト前が良い。気の強い方の男の子が敗北を覚悟するのに対して、それまで気弱だった男の子が徹底抗戦の姿勢を示し、挫けそうになった相棒を励ますのである。おしいれのぼうけんで、この子は成長を遂げたのだ。
悪童二人に手を焼いて、押し入れに閉じ込めた先生方が、またいい。彼女たちは反省するのだ。子供を押し入れに閉じ込めるやり方は間違っていたと。
子供の頃に読んで面白かったが、大人になって読んでも異常に面白い。
壁にぶち当たり挫けそうになったら読むと良いだろう。あるいは、人に罰を与える前に。その懲罰は理にかなっているのか、考えるために。