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小学校の先生

私は小学校時代の時、卒業式が終わったクラスの中で、2人の男女が恋の告白のようなことをしていた。私たちはクラスの外にいて、私と共にいる何人かの女子はそれをヒューヒューと持ち上げて、何かゴシップネタでも捕まえた記者のようにはしゃいでいた。そこに担任の先生が通りかかって、(この先生はおそらく30代だ)用事があるのか教室に入ろうとした。その時記者の1人である女子生徒が「ダメだよ!先生!」と先生を止めた。今は告白の最中なのだから、邪魔をしてはならないと。女子生徒は活気に満ちて止めていた。それを聞いた時先生は「ああ...」と若干申し訳なさそうにし、それは悪いことをしたね、といった苦い表情を浮かべ、男女の告白が終わるのを待った。私はその時その先生の顔を見て、なんていい先生なんだろうと思った。もちろん他の場面での先生のことも私は知っているので、いつも多目的室に生徒を集めて反省会を開く怒気の混じった先生や、苛立ちをあらわにする先生のことも知っていたが、その時に見た苦い表情をした先生は、私の見た中で一番美しい先生であった。何故ならこの先生は、子どもたちの恋愛、あるいは恋仲、そこに追随する世界を、認め、見守ったからだ。子どもたちの世界を邪魔しなかった。子どもの恋愛なんていうのは、1人の大人からしたらマセた子どもの単なるごっこ遊びと捉えられてもおかしくないし、他の人はよくそう捉えるかもしれない(もちろん大人たちに悪気はないのだが)、しかしこの先生はそこに入ってしまおうとした自分を反省し、なんなら苦い表情を浮かべ、教室に入る前に引き下がったのだ。私は先生が子どもたちの社会を壊さないのを見た。それが私にとって一つの思い出として今も色濃く心の中に残っている。

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