[創作]完成しない恋という完了
海の地平線が浮かんで見える。海に山が面し、空は青く晴れ渡っていた。この荘厳の隆起と、すべてがフラットの水面、丘の上の道路を私たちは滑走していった。
もし彼女がそこにいればいいな、と思った。そうしたら私は悲しくて泣いてしまうと思った。もし自分が運転していて、彼女がその旅の疲れで横で寝ていたとしたら、私はその横顔の事実だけに苦しくて泣いてしまうと思った。苦しいほど喜びだと思った。
オーディオには自分のスマホが接続され、プレイリストが流れていた。そのどれもがその時の気分とその時の雰囲気で気に入った、曲だった。それらを聴いて、私たちは遠い青空の下を山の隆起の中のトンネルに向けて、走っている。
旅ではアニメのイベントが開催されており、たくさんのコスプレイヤーがいた。私は私の思う恋人ではない、親しい男の友人と揃って割とアニメオタクな人間であったので、髪の色が溌剌としたレイヤーの方を見ると一つも気分が飽きなかった。
アニメが人を取り込んでいるのを見た。またファンは自らがアニメに向かっていた。双方に受信が完了し、それが一つの文化となっていた。またそしてそのアニメ文化がもう10年以上も前から始まっていることを思えば、私たちは気軽に生きられる気がした。
街の一つの定食屋で食べた海鮮丼は美味しかった。その海に面した街は人だかりで溢れており、通りすがりのすれ違ったおじさんが「いいなぁ、ここは。」と言ったことを耳にした時、私は生きる意味を感じた。
街にはガラス細工が置かれており、それらが色彩を放って輝いていた。どうして一色、二色、三色とそれほどまでに"違う色"が出るのか、割れてしまう透き通ったガラス細工は、きっと彼女にあげればそれは満たされた死後だと思った。
悠々と続く自然には、私という存在を通して自然が感受される。私がいるからこそ、あなたの存在を悲しく感じる。悲しく感じるのは痛切だ。しかし痛切だがそれが私の一つの人格だ。
愛する、街と海と山と青。この上に君という存在がいつまでも横で昼寝をしていてくれ。私はその度にこの空の愛に泣くのだから。
そうだね、今日はこの曲を聴いて帰ろう。