
ポップに!彼女の願い(やせたガールの日常)#青ブラ文学部
彼女はよく食べる。
本当によく食べる。
バクバク、パクパク、ゴックン。
見ているこちらがお腹いっぱいになったり、清々しく思う食べっぷり。
……けれど、彼女のスタイルは、そんな大食いとは比例しない程のスタイルだ。
痩せの大食いさん、とか、そういう話ではなく、本当に細いのだ。
今にも倒れてしまいそだが、当の本人はなんのその。
食べたいだけ食べて、飲みたいだけ飲む。『これが、私のすることなの!』笑顔でそんな事を言われては、聞いてる側は何も言えない。
……彼女は、ある日突然姿を消した。
自分以外に彼女の事を覚えている人は居ない。一緒に遊んだり、飲んだりしたのに誰もその事を覚えていない。
けれど、よくよく考えれば、それは至極真っ当な事だった。
だって……
彼女は、『人』ではなかったのだろうと、今となっては思うから…。
彼女は不思議な力を持っていた。
彼女は食べた分の力を他人へ愛として分け与えていた。
目には見えないけれど、彼女が胸元に手を乗せると透明なひかり輝く物体が現れて、彼女がそれを放つとスッと何処かへ飛んでいく。
そんな行為を何度か繰り返せば、沢山食べて少しふっくらした彼女の体は、また前のスタイルへと戻ってしまう。
まるで、子供の頃に読んだ『幸福の王子』の様に自分の持っているものを分け与えていっていた。
そしてある日、彼女は言った。
『あのね、もし、私の事が町で密かな噂や都市伝説になった話を聞いたら、題名はこうしてくれない?』
自分にお願いを伝えた彼女は、何処か満足そう。
けれど、それを聞いた自分は何だか複雑な心境。
『明るくポップがいいの!』
そんな彼女の願いを、自分は数か月後に叶える事になる。
『あのね、もし、私の事が町で密かな噂や都市伝説になった話を聞いたら、題名はこうしてくれない?』
『『やせたガールの日常』って!!!』
〜おしまい〜
山根あきらさんの企画に参加させて頂きました。
無理があるところもあると思いますが、よろしくお願いします。