味覚の鈍りを頼りに、鉄分を摂取する(エッセイ)
どうしても苦手だった食べ物がある。
頑張って!体の為。と思っても、一口食べた瞬間に、口に入れた事を後悔してしまう。
そんな食べ物。
……その名は『レバー』
肝臓である。
私はどうしてもレバーを食べられなかった。
食べた瞬間の独特の香り、そして、何より嫌だったのが、レバーを噛んだ時に伝わるあの食感…っ!
ねと〜っとした、ベタ〜っとしたようなあの食感……。
あれは……本当に無理だった。
鉄分が豊富なレバー。
貧血ぎみな体質ではないと思うが、それでも貧血予防の為にと食べていきたかったものの、そんな私の願いは自分の味覚の前に儚く消えた。
そんな時から○年後。
私は、あるスーパーで売っていた「鶏のレバー」を食べる機会に出会った。
それは、父が食べようと購入したものだったのだが、量が多かったので、それを少し貰って食べようと思ったのだ。
鶏のレバーの大きさは大きく、存在感たっぷり(笑)
……食べられるのだろうか?
レバーの味は嫌というほど頭の記憶箱の中に、味覚という舌の記憶として残っている。
けれど、大人になった今、どうしても鉄分補給としてレバーを食べられるようになりたいっ!
その気持ちのまま、恐る、恐る、一口。
「………っ!!!!」
た、食べられる。
鶏のレバーが、甘じょっぱいタレからまり、絶妙な味覚のハーモニーを奏でている。
お、美味しい………!と、思う。
「これでなら………、レバーが食べられるかもしれないっ!」
鶏のレバーは、豚のレバーほど臭みがなく、サッパリとしていて、舌触りも気になる程ではない。
「美味しい……。美味しい……っ!」
食べ続けるとやっぱりレバー独特の舌触りが気になり始めてきてしまうが、タレの美味しさで我慢出来る。
鶏なら……っ食べられる、私っ!
味覚が鈍ったのかもしれないけれど、レバーが食べられる様になったなら万歳!
万々歳っ!!!
取り敢えず、鶏のレバーを食べられる様になった私は、次は「これは豚のレバーだけれど、臭みが少なくて食べやすい」と母にオススメされた、あるスーパーのレバニラ炒めを食べみる。
こちらのレバーは、1つ1つが小さいので食べやすそうだ。
私は、またこちらも一口食べてみる。
「〜〜〜っ、食べられる〜〜!」
「美味しい!!」
と、私は豚のレバーも、このスーパーのレバニラ炒めなら、食べられる様になったようだ。
けれど、食べられる様にはなったものの、自分から食べたいと思って手に取れる程のレベルにはまだなっていない(笑)
けれど、こうして大人になってから食べられる様になった私は、充分褒め褒めして良いのではないか?なんて思っている。
食べたくても食べられなかったレバー。
大人になって、味覚の衰えという名の成長を味方につけ、私は鉄分補給出来る食材を増やすことが出来た。
グッジョブᕙ (° ~ ° ~)私っ!