小さい子、耳鼻科にて(エッセイ)
めまいを起こした。
たまに起こるめまいより、今回は激しめ。
普段の生活を送る事は出来るけれど、頭を起こしたり寝たりする時にクルクルと目がまわり、これはマズイと思った私は、仕方なく耳鼻咽喉科へと向かった。
私が診察してもらえるまで待合室で待っていると、診察を終えた小さな女の子がお父さんと診察室から戻ってきた。
女の子の手には、今流行りの「ちいかわ」の折り紙が2枚握られていて、女の子は上になっていた夜空の中にちいかわのキャラクターが描かれている折り紙の見ながら
『ちいかわ、おほししゃま』
と、言っていた。
か、カワイ〜。
女の子の声や言い方も可愛かったのだが、ちいかわの折り紙を見つめながら言っていたのが、一番可愛かった。
そんな女の子、お父さんがお会計を済ませ、薬を貰いに病院を出ようとしていた時、女の子の手には『夜空のちいかわの折り紙』だけが握られていた。
初めに書いたが、女の子は折り紙を2枚貰っていた。
けれど、今は『夜空のちいかわの折り紙』だけを持っている。
「〇〇、こっちにもう一枚あるよ?
良いの?」
女の子のお父さんが聞く。
けれど、女の子は『夜空のちいかわの折り紙』に夢中で、もう1枚のちいかわの折り紙には見向きもしない。
何とも素直で残酷(笑)
この後、女の子はもう1枚あるちいかわの折り紙を、ちゃんと気に入ってくれるだろうか…?
私は、心の中でひっそりと、もう1枚のちいかわの折り紙の事を思い、どうか女の子に気に入って貰えまえすようにと願ったのだった。