日銀の金利引き上げ
日銀が7月31日に0.25%の金利引き上げ発表しました。毎度のことながら事前に情報がリークするのはいかがなものかと思いますが。
日銀の言い分としては『景気と物価の好循環で安定的、持続的な2%物価目標の実現の目途がたちつつあるから』と言っているけど、実経済は【主に円安による物価高騰で疲弊しているが、人材不足を引き留めるために企業側が仕方なく賃金を上げざるを得ない状況となっている。だが、物価上昇に実質賃金が追い付いていかない】が正解の様な気がします。上げる理由の本音は『一部を除き景気が悪化しているのは理解しているが、このまま金利を据え置いていくと万が一ハイパーインフレに突入した場合に止める手立てが無くなるから仕方なく』でしょう。植田総裁のたどたどしい説明が物語っている気がします。
日銀がやるべき政策は【物価と賃金を比例して上げていく】事ではなく、【経済を安定させて各企業の成長を促す】だと思う。
前任総裁のおかげで日銀の手札が無いのは重々承知しているが、為替相場と株式市場を引っ掻き回すのが仕事では無い筈だ。
自分が学生やサラリーマンだった頃は日々の為替相場や株式市場に一喜一憂する事は無かったが、製造業の経営者となってからは急激な為替変動や物価を日々気に掛ける状況となっている。緩やかに変動している場合はそこまで気にしないが、1日に1ドルが1~2円単位で動く、1か月で10円単位で上下動されると非常に困る。見積もりした金額が1か月後の受注時にはコストが上がって赤字仕事になったなんて事はザラで、材料費や電気代が上がったからと言って発注先が何でもかんでも認めてくれるわけでもない。日々のコスト計算や発注先との価格交渉に追われるケースが増えていて経営どころではない時もある。
日本にとって【円安が良い】とか【円高が良い】とかの論争は置いておいて、個人的には【緩やかな変動で落ち着いているのが良い】が最適解だと思う。円高であろうが円安であろうが、変動幅が小幅で落ち着いていればいくらでもやりようがあるが、これだけ変動が激しいと動きようが無くなる。現状維持が手一杯で事業拡大なんて殆ど手を付けられないし、仕事の先行きが不透明なので設備投資も新規設備への投資は慎重にならざるを得ない。
現在の政府や日銀が1~2カ月とか、長期的目線での政策も半年レベルの短期的な考えで行動している節がある。確かに直近の国民生活を何とかしようとすることも大事だとは思うが、それは各地域、各自治体に任せられるものは任せ、政府は世界から見て【日本】が将来どのような立ち位置、役割を担うのか、次世代に向けて『日本をこういう国にしようとしているので協力してください』と行動して欲しいものです。