ドライブ

 　冷え込んだ朝。露に濡れた紅葉が辺りを彩る。空気が冷たい。短くなった秋が足早に過ぎ去っていく。秋の風を感じたい私は車を走らせた。空は青空を覗かせている。秋の陽光が車を照らす。気持ちの良い日の光が全身を覆う。私はアクセルを強く踏んだ。滑らかにスピードが上がっていく。車は陽光を反射させながら流線型のボディーで風を切っていた。
　陽光に光り輝く紅葉が車の辺りを照らす。車は一台しか走っていない。黄色、紅色、葉の色がグラデーションになって私に迫ってくる。峠道。私は車のアクセルを緩めた。風景は次第に緩やかに流れ始めた。山の上は白く染まっている。紅葉とのコントラストに私は目を見張った。私は遂に車を止めた。外の空気はより冷たく、澄んでいた。私は白く染まった山頂をいつまでも眺め続けていた。