![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128340235/rectangle_large_type_2_54303db4e27e82e6b6de475ce7edff1f.png?width=1200)
本屋さんの戦い方研究②(無人店舗型)
店舗数が激減してきている本屋さんであるが、
元気な本屋さんはたくさんあるし、毎年新しいお店もオープンしている。
本屋さんの戦い方は最近見る限り
①大型店型 *ハード
②無人店型 *ハード
③複合店型 *ハード
④ソムリエ型 *ソフト
⑤エンターテイメント型 *ソフト
の5つの型が見られると思う。
また、主にハード面での取り組みかソフト面での取り組みかに分けることも出来る。
本日はそれらについて実地を訪れた際の感想も交えながら詳しく書きたい。
大型店型について
大型店型については言うまでもないが、ターミナル駅などにある大型書店である。関西に住んでいる私は、ジュンク堂書店三宮店、ジュンク堂書店梅田店、紀伊国屋書店梅田店をよく使用する。
強みはターミナル駅や繁華街に位置する利便性と圧倒的な在庫量である。
大型店型はその圧倒的なハード(店舗)の大きさを持って、複合店型の特徴を持っているお店が増えてきている。
昔からあるのは丸善などの文具店の併設である。
書籍と文具は親和性が高いので違和感は無い。
あとはカフェの併設。これも蔦屋書店のスタバ併設が起点となって違和感は薄れてきている。
まぁ大型店型は特に補足も必要はないだろう。
書籍の森に浸れることはこの上ない幸せを感じるし、定期的に行きたくなる魅力がある。
紙の香りが最高である。
無人店舗型(都会のアンテナショップ型)
無人店舗型は省力化で可能性を見出す形態である。
最近話題になることも多い。
話題のお店として行ってきたのは「ほんたす溜池山王店」である。
日枝神社に参拝に行く際に降りる「東京メトロ溜池山王駅」にある無人店舗である。
地上に出たらすぐ隣は首相官邸や議員会館があるので議員の先生達は寄るのかな・・・・。
15坪というコンパクトな店舗。
店舗に入るためには、LINEミニアプリに登録しないといけない。
出版取次大手の日販(日本出版販売株式会社)が運営をしているとのこと。
店舗情報:ほんたす溜池山王メトロピア店
東京都千代田区永田町2-11-1
東京メトロ溜池山王駅山王パークタワー側改札外
地上出口 8番付近
営業時間:平日 7:00~22:00
土日祝 10:00~20:00
ホームページ https://hontasu.com/
![](https://assets.st-note.com/img/1705832145133-Sv3q3KypId.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1705831141754-XLExMCCPyq.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1705831182556-t3UIwum9hD.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1705831279787-YKQ3ySjKHy.jpg?width=1200)
「ほんたす溜池山王店」は一言で言うと都会のアンテナショップ型だと思う。新刊書籍や話題の書籍を中心に、忙しい通勤の合間などに手軽に書籍を手に入れたいというニーズはあると思う。
また、今後の活用としては書店が無くなってしまった街などであれば、市役所や駅構内などの中に無人コンビニと併設してもニーズはありそう。
無人店舗型(まちの本屋さん省力化型)
無人店舗で訪れた店舗でもう1店舗。
こちらは世田谷区にある松蔭神社にお参りする際に降りる「東急世田谷線松蔭神社前駅」の駅前商店街にある店舗である。
中身は学校や住宅が周辺にあり、人通りが多い商店街にある普通の本屋さんである。
こちらは、2024年7月までの実験店舗のようで、出版取次大手のトーハン(株式会社トーハン)のグループが運営しているとのこと。
特徴的なのは全時間帯無人ではなく、19時〜翌朝10時までが無人になる点である。
夜間の書籍購入の可能性を探ることと、省力化の可能性を探ることが目的だろうと思われる。
*残念ながら出張の都合上、無人時間には訪問できなかった。
こちらも登録は、ほんたすと同様のLINEミニアプリ登録だった。
店舗情報:東京都世田谷区若林4-20-8
東急世田谷線 松陰神社前駅 徒歩1分
営業時間:【有人営業】10:00~19:00
【無人営業】19:00~翌朝10:00
![](https://assets.st-note.com/img/1705831726857-rKraaKH27Y.jpg?width=1200)
無人店舗についての考察
無人店舗については、日本の出版取次の2大巨頭である日販とトーハンがそれぞれ無人店舗を違うコンセプトで運営していることが面白い。
「日販のほんたす」について
日販の「ほんたす」は無人店舗で新たな出店余地を探りつつ、潜在顧客とのリアルのタッチポイントを探っているように感じた。
例えば電車の中吊り広告で新刊のPRを見たお客さんに、すぐに購入してもらうなどの工夫はできるだろう。
課題は、登録して中に入る抵抗感のような気がする。
私は本が好きなので入ってみるが、登録してまでわざわざ入る人がどこまでいるのか・・・。
コンビニなどと共同出店するなど入る抵抗感を減らしていく工夫は必要だと感じた。
「トーハンの山下書店」について
無人時間帯の使い勝手を体感していないので説得力は低いが、
普段使っている街の本屋さんが深夜も営業しているのは有り難いと思う。
普段は顔が見える書店なので、無人時間の登録入店も抵抗感は少ないだろう。
街の本屋さんの人件費抑制と営業時間帯の可能性深化の2兎を追うのであれば非常にスムーズな無人店舗化だと感じた。
今後、普及していく無人化の例だと思う。
本屋さんの生き残りにおいて、無人化は大きな可能性である。
本屋さんがどんどん減っている地方都市において、街の本屋さんが無人化により残る可能性があれば大歓迎である。
しかし、無人化は無機質化とも言える。
あくまでもハード(店舗)戦略の一つであり、その運営においてはソフト面での工夫はリアル店舗以上に必要だと思う。
そのような位置付けで行けば、有人+無人の掛け合わせをどう進めていくのかということは今後も注目していきたい。
いいなと思ったら応援しよう!
![大塩 謙](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142223569/profile_dc08887786c81c6b9e3152bdced20f18.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)