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値上げされた「ツナ缶」が買えなくなって、気づけたこと。

村田沙耶香さんの『信仰』という小説の中で、鼻の穴ホワイトニングを受けに美容耳鼻科へ行くシーンがあります。創作だから、実際に鼻の穴ホワイトニングなんてものは無いのですが、妙にリアルさを感じました。

海外では鼻の穴ホワイトニングは常識なんだからと友人に促されて、美容耳鼻科へ行くんです。小説の中では、普通のこととして捉えられているのですが、鼻の穴は暗くて見えないのにホワイトニングなんて可笑しいですよね。

小説の中に出てきた鼻の穴ホワイトニングみたいに、わたしも常識というか、普通にいつもスーパーで「ツナ缶」を買っていたんですね。あの、みんなが買っている「ツナ缶」です。

それがあるとき、「ツナ缶」ではなく「ツナ袋(パウチパック)」を買ってみました。スーパーの特売で68円! 安かったからです。

わたしね、ツナは缶に入っているもの と思いこんでいました。

だけど、ツナ缶って開けるのが難しくて、蓋を開けるとき、中の油が飛び散ったり、微妙な力加減が必要だったりします。

それがツナ缶ではなく、ツナ袋にしたら、そんなストレスはなく、思いのほか快適だったんです。油の飛びちりを気にしたり、蓋を開けるときの微妙な力加減は必要なく、ハサミでカットして使うから失敗がありません。


特売で68円。ツナ袋をまとめ買いしてから何度か使ってみましたが、やはり使いやすいのです。

量が少ないから安いのではないかと疑いましたが、グラム数は缶と同じでした。3こセットになっているツナ缶は、今では値上がりしていて高くて買えません。

そこで疑問がわきました。「え? どうしてみんな、ツナ袋を買わないのだろう」「どうして世間に、ツナ袋浸透せずツナ缶が主流なのだろう」と。

理由の1つに、ツナは缶に入っているもの という思い込みがあるんじゃないかと思います。スーパーに行き、ツナを買おうとすると、自然に足は缶詰めコーナーに向かいます。そこに、山積みになったツナ缶があり、カゴにツナ缶を入れる。

「ツナ袋(パウチパック)」は目に入っていないんです。

わたしがたまたま、「ツナ袋」を買ったのは、スーパーの特売で、山積みになって68円で売っていたからです。

そうでなければ気づけなかったと思います。自分が常識だと思っているもの。思い込みに近いものが、日常の色々なところに隠れています。それを探してみるのも、面白いかもしれませんよ。物価高で気づけたことでした。

では!

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