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葛飾北斎 / メトロポリタン美術館
江戸をぶらつこう(もりとざる)
(もりとざるの違いについて)
昭和三十年頃までは、どの蕎麦屋も「もり」と「ざる」の漬け汁が違っておりました。
「もり」は辛く「ざる」は味醂を入れて、甘くしてあったとのことです。
薬味として、刻み葱に唐辛子粉が「もり」で、海苔に刻み葱それに山葵下ろしが「ざる」の漬け汁でした。
唐辛子で、漬け汁はたっぷり付けないのが、粋な食い方だということが広まると、この方がもっと粋だろうと、つゆを付けるか付けないかで食う輩がでてきます。
これで蕎麦が美味い筈がありません。
落語に「そば清」というのがあります。江戸っ子の清さんが何時も気取って少ない汁で蕎麦を啜り食いしていましたが、ふとしたことで、病にかかり死の床につきます。
今はの際に言う言葉が「一度でいいからたっぷり浸けた蕎麦を食ってみてエー」であったそうな。