襟裳の風#1
小生が幼児期の襟裳岬近辺の生活状況を14回に分けて、記述させていただきます。70歳を過ぎますと、小さいころの記憶が浮かび上がってくるようです。
本内容は「襟裳の風」という本で、北海道立図書館 北方資料室に蔵書されており、貸し出しもしているようです。
昭和30年代初期の、襟裳周辺の生活記録として、保存されていることは、ありがたいことです。
また、noteで既に投稿させていただいた、「黄金道路」と重複する箇所がありますが、ご了承願います。
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広尾から黄金道路を五キロ程襟裳岬寄りの白浜という集落で生まれ、小学校一年生の二学期まで、私はそこで暮しました。
昭和二十六年五月生まれの私にとって、いまでもその頃の情景とともに当時の微かな香りが漂ってくることがあります。
それは薫風が吹いているとき、あの襟裳の何もない自然の香りです。私は鼻から大きく息を吸い込み、心の中で『そうだ、そうだ』と満ち足りた気持ちになるのです。