襟裳の風#14 完
白浜(フンコツ)の集落では電気も通じていませんでした。
鉄道も敷設されていない北海道の小さな漁村で生まれ育った私は、生まれ故郷のあの香りと共に、襟裳から夕張に引っ越しました。
小学校一年生の二学期のときでした。
祖母、父、母、姉、私、次女、三女の七名の大所帯でした。
それから、全国の様々な土地の香りや匂いを嗅ぎながら、七十二年の歳月を生き、ときどき、過去の微かな あの襟裳の香り を嗅ぎながら生きています。
そして、これからも、それらの香りを感じつつ生きていこうと思います。
了