【連載小説】憐情(2)
次の日から仕事で汗を流した。会社の総務に席を置く私は、朝からバタバタと走り回った。
朝礼の準備やら蛍光管の球切れ対応やらと、小さい会社なので庶務的な仕事のほうが多い。休み明けの月曜日は特に何かと多忙である。
自分の机に向かいパソコンを操作し始めた。そこに一人の営業業務の人間から、「パソコンが起動しないから見て欲しい」との依頼が舞い込んできた。
早速エレベータで上部階へ行き、動作確認をした。すると、ウィルスに感染したようだ。直ちに操作を中止し、各部署へ連絡。契約しているメンテ会社のエンジニアが来るまで3時間ほど待たなければならないこととなってしまった。その旨そのフロアーの部署の責任者に伝え、総務へ降りてきた。
今度は急病人が出たとの事で救急車を呼び、病院に搬送した。自分が救急車に同乗することになり病院に向かった。貧血を起こしただけで大事には至らなかった。
そうこうして、昼ご飯にありついたのが午後三時頃になってしまった。
最近は景気のせいかどうかは判らないが弁当持参のサラリーマンが多いと聞く。私は殆ど外食だった。
外食といえば聞こえはいいが、会社の近所の立ち食い蕎麦屋で済ますことが多い。そこの立ち食い蕎麦屋の大もりはすごい量だ。おかげで助かる。
仕事は午後五時半が定時だが、その時間に帰ったためしがない。いつも八時ごろまで、時には十時過ぎまで仕事をした。昼間は雑用に追われ、本来の仕事は五時半以降になってしまうのだ。