イカサマ #5(6話完結)
師走の大勝負助蔵の来し方はふくには見当もつかない。
無宿者と言われればそうだろうと思うし、どこぞの大店の跡取りと聞いても得心する。飄々とした様子が助蔵を何者にも見せるのだ。
お互いをよく知らぬまま二人は月に一度か二度、賭場へ繰り出した。ふくを伴えば必ず勝てるが、この頻度を助蔵は良しとしているようだった。
そうしているうちに季節は移り、暦は師走を迎えた。
壺振りと一対一の三番勝負を提案されたのは意外だったが、ふくにとっては願ったり叶ったりだ。胴元の岩切親分は助蔵が一目置いている