関東在住の大学院生が福岡移住に至る物語⓪~登場人物の紹介~

シリーズを⑳まで書いていて思った。
「この物語の主要な登場人物の説明があった方がよいかもしれない」と。漸次更新されていくかもしれないが、今のところ書く必要があるだろうと思われるアクターを軽く紹介していきたい。

ぼく(やそら):この物語の主人公。不登校やひきこもり経験を経てジェンダー系に傾倒した時期があり、「ただでさえ当事者性が多くてしんどくて疲れてるのに、これに輪をかけて、ジェンダーにおける迷いやゆらぎが生じては堪らない」という気分が高じて、話が通じそうな人には「30歳、ヘテロシスジェンダー男子」を名乗りがちなめんどくさい人。
関東の公立大学の大学院博士課程に在籍しており、社会福祉学を専攻している。長年、1970年代に端を発する障害者の社会運動の傍で生きてきたが、今夏、さまざまなご縁やタイミングが重なり福岡へ移住することを決意した。福岡ではもともと興味があって修論のテーマにもした精神保健医療福祉分野で、自身が保有する国家資格も活用して働きながら研究テーマを探究しようと画策中。

修論(修士論文):ぼくが2021年度に大学院の修士課程で提出した修士論文。タイトルは「日本の精神障害分野における当事者活動に関する考察ー関係性、社会運動の観点から」。A4用紙200枚にもおよび、その総文字数は約30万字。やそら曰く、「自分の精神科ユーザーとしての見聞を踏まえて、狂いながら書いた作品」となっており、当該領域のある第一人者の先生には、「私が長年書こうと思っていた、日本の精神障害の当事者活動のマスターナラティヴを私が書くよりも断然質の良いものを、しかも怒りを込めて完成させてくださった」と言わしめたやそら入魂の作品。やそらが読んでいてつまらないと感じる先行研究が多い中、「自分が読んでおもしろいと思えるものを書くんだ!」「向こう30年は読まれるこの業界の必読書を書いてやる!」と自らを奮い立たせ、実質半年未満で書き上げた。ちなみに執筆当時、「ホント、精神科病院に入院しながらこの論文書けたらもっといいモノが書けると思うんですよね〜」と指導教員に嘯いていた過去について、やそら本人はアタオカ発言として闇に葬り去ろうとしているとか。
この修士論文の執筆と完成を通して、この物語の主人公であるやそらは、時に修論に翻弄されつつ、導かれつつ、新しい人生を切り拓いていくこととなる。この物語における陰の最重要アクターと言っていいだろう。

福岡のお母さん:修論に並ぶ、この物語における最重要アクターの1人。やそらの福岡移住へと至る直接的な契機となる「福岡来ちゃえばいいのに!」という呼びかけをしてくれたその人。修論が陰の最重要アクターなら、福岡のお母さんは陽の最重要アクターになるだろう。かつて、河合隼雄に師事したいがために京都大学に入学したらしい。当時は学生運動がまだあり、講義の合間などにヘルメットを被ってガヤガヤするのが日常だったとのこと。ユング派の心理士でもある精神保健福祉士。福岡市内で、「精神保健医療福祉を変革する当事者」として、長年実践してきた。修論が契機となって、2022年12月に福岡市内で開かれたとある当事者団体の大会で、たまたま講師を引き受けることとなったやそらの講演を聴いたのがきっかけで、やそらにパルプンテをかけることとなる自称「パルプンテの使い手」。御年65歳前後、恐らくお子さんもいる。福岡のお母さんのプライベートに関することや働き方などは、外から何をしているのか見えづらいものが多く、ピアスタッフのKさんに言わせると「怪人百面相みたいな人だ」とのこと。

Iさん:とある当事者団体の代表。2022年12月に行われた全国大会の実行委員長で、普段はとある法人で実質的な代表取締役をしており、事業所を複数展開している。50代の男性で、現在も精神科に通院しながら精力的に活動している。2022年7月にとある大学院のゼミでゲスト講師として登壇したやそらの修論の報告を聞いて、12月の大会に呼んでくれた張本人。めぐりめぐって、なんと2023年8月からやそらは、Iさんの事業所でも働くことになるらしい。物語の随所に現われるキーパーソン。趣味はサーフィン。

Kさん:福岡市内で働くピアスタッフの一人。2022年12月の大会の折、大会の実行委員の一人としてやそらの分科会のサポートに入ったのがきっかけでやそらとの親交が始まる。2023年2月の打上の際には、やそらにポジティヴなフィードバックをくれた。やそらの福岡移住を楽しみにしてくれている一人でもあり、やそらの相談なども乗ってくれるいい人。たぶんこちらも50代男性。ある時、公的機関でKさんと職員とぼくの3人で打ち合わせをしたのだが、その時のKさんとぼくとのやり取りの様子や雰囲気、関係性を見た職員が後日福岡のお母さんに「やそらさんとKさん、なんかKさんがお父さんみたいな雰囲気で接してて、いいコンビだな〜って思いました」と感想を伝えていたらしい。いよいよ福岡移住も決まった頃参加したピアサポート講座に関する打合せの場で、やそらに無茶振りなどもするような場面もあり、今後のやそらとの関係性の展開が気になる人物である。

Fさん:福岡市内で長年ピアスタッフをしている恐らく60代男性。Kさん同様、12月のやそらの分科会で実行委員の一人としてサポートに入ってくれていた。ぼくの実存丸ごとを賭けた報告に対して、FさんもFさんの実存を賭けた応答を当日の分科会でしてきた。Fさんからの応答に、その場で懸命に応答したやそらであったが、今でも頭の片隅で、Fさんからの応答に自分の生き様を通して応えることができるのだろうかと、悩んでいる。Kさんと同じ地域活動支援センターで働いており、2月の打上げの際にも顔を合わせており、5月以降もちょくちょく顔を合わせている。Kさん曰く、「やそらさんの宿敵?」らしい笑。悪意なく、素な感じでいろんなことをぶっ込んでくるところのある人らしく、5月以降のやそらをFさんは、その軽快な一言一句で翻弄し続けるのであった。

Mさん:とある精神科訪問看護の事業所で代表をしている。最近グループホームもつくった。妙に熱い人で、病院勤務時代などに他の医療職が、患者のために動くのではなく、お金のために働いたり動いたりしている雰囲気に我慢ならなかったと語っていた。そして今では、看護師の割にそういう不器用さのためかあまり稼ぎはよろしくないとか…笑。御年50歳だが、そんな不器用なところを30歳のやそらが「Mさん本当に不器用なんですね〜。嫌いじゃないですけど…笑」とか言うと、嬉しそうに少し照れ臭そうに笑う可愛らしいおじさん。
患者のために熱くなりすぎるところがあって、若い時はそれでいろんな失敗もしてきたらしい。「事業所の代表で社長なんだから、社員の生活だってあるんですから、そこら辺の現実的な問題と折り合いつけてやっていかないと〜」とこれまたやそらが偉そうな口を聞いても、笑って聞いてくれる本当に気さくで素敵な方。12月の大会の折、ギリギリまで悩んだが著名なピアスタッフの方の分科会を切って、敢えて、なんかどうしても気になってしまったというぼくの分科会の方を優先して、わざわざ聴きに来てくれた方。その件についても、「いや〜、絶対一般的にはあっちの分科会に行くのが正解でしたよMさん!わざわざこんなドマイナーな人間の報告聞きに来てくれたなんて、ありがたいですけど…笑」などとやそらが口走ろうものなら、「あの時ギリギリまで悩みましたが、最後やそらさんの分科会選んだからこうしてご縁もできたんで、あれで正解だったんだと思ってます」と返してくれる素敵な(以下ry)。やそらの福岡移住をおもしろがってくれている人の一人。

恩師(東京のお父さん):実の母と同い年の大学時代の恩師。やそら曰く、「恩師には本当に足を向けて寝れない程の恩がある」らしい。難破した物語を生きてきたやそらの経験を初めて、肯定的に捉え、「あなたの経験は今後あなたが支援者になっていくうえで必ず生きると思いますよ」と声をかけてくれた方。やそらは、恩師にしてもらったようなことを今後、自分より下の世代に還していきたい。恩師にしてもらったようなことは、直接、恩師に還せるような類の恩ではないと考えたやそらは、20歳以降、恩師をロールモデルとして、恩師に教わった「理論と実践のバランスが大事」という教えを胸に大学院まで進学した節が見受けられる。実の父があまりにも頼りなく、不甲斐ないところがあったため、実の父に成り代わり、やそらの「東京のお父さん」のような役割をかなりの程度引き受けてくれていたのは、公然の秘密だとされている。やそらから見ると「あんな優秀で頭のいい人は会ったことがない」まさにパーフェクト超人だと捉えていたのだが、やそらが恩師に導かれ歩んできた自立生活運動から離れ、「福岡に移住することに決めました!」と挨拶に伺うと…?

Sさん(東京のお母さん):やそらは大学時代、熱心に路上生活者支援をしていた。本人に言わせればそれは、「路上生活者の姿に自分を投影していたから、大学時代は自分もああなるんじゃないかと本当に怖かったので、その恐怖心の根っこを確かめるために路上生活者支援をやっていたのだ」ということらしい。そんな活動のバックアップをしてくれたNPOの職員だったのが、東京のお母さんだ。東京のお母さんが常駐していたやそらが通う大学の近くにあったオープンスペースに、やそらは日参していた時期がある。そのうち、ウマがあったのかやそらと東京のお母さんは飲み歩く中になり週一、酷い時は週二で飲み歩いた。たいていは行きつけの焼鳥屋に二人は集合した。あまりに二人で通い詰め過ぎた二人は、しまいには店のスタッフから「年の差カップルかな?」と噂される始末だったという。実の母親もいて、東京にも母親代わりがいて、そのうえしかも福岡にも!?というツッコミは差し控えて欲しいと、やそらが申しておりました。

暫定的な登場人物紹介になるが、とりあえず今のところはこんなところで終わりにしたい。これからの進行次第では、加筆もあるかもしれないことをお断りしておきたい。

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