やそら

当事者研究者、三福祉士 noteでは日々の現場でのことや思索を綴っていきます。 どうぞよろしく!

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マガジン

  • イタリア視察がきっかけで福島県相馬地方に

    イタリア視察で出会った視察仲間に誘われ、福島県相馬地方の精神保健医療福祉分野で働くことになりました。福岡の次は福島だ! 福島県相馬地方で働いたり暮らしたりしていく中で感じたり考えたりしたことを書いてます。

  • 近況報告とか書かずにはいられなかったこととか

    福岡移住前後のぼくの近況とか、特にこころを突き動かされるような事態に見舞われた際に、ぼくが考えたり感じたりしたことを綴っています。

  • 当事者研究者、福岡市の精神保健医療福祉分野で働き始めました!

    2022年12月、日本ピアスタッフ協会が主催する全国ピアスタッフの集いの分科会講師として招かれたのがきっかけで福岡市で働くようになった当事者研究者が、精神保健医療福祉の現場で目撃したり、経験したり、見舞われたりしたあれこれについて綴っていきます。

  • イタリア視察に関する文章

    2024年6月末から7月上旬にかけて、ひょんなことからイタリアの視察旅行に随行させてもらうら機会をいただきました。日本の精神保健福祉分野の当事者活動やピアサポートに関する知見を踏まえてだったり、自分自身が自立生活運動の介助/介護者として働いたり、精神保健福祉分野でピアスタッフとして働いたり、リカバリーストーリーの語り手として活動した経験も踏まえて、あれこれ感じたり考えたりしたことをまとめています。

  • 『当事者は嘘をつく』にまつわる論考

    小松原織香さんの著作『当事者は嘘をつく』に関してあれこれ書いた文章をまとめています。

最近の記事

福島生活2ヶ月

早いもので今日で福島生活2ヶ月になりました。 最初は田舎な環境に驚く速さで順応してしまった自分に戸惑っていたっけ。 ある村へと仕事で向かった時、村人よりも先に猿の群れに遭遇しました。野生の猿に出会うのは約20年ぶりだっただろうか。 ある夜道、車を走らせていると明らかに「お前轢かれたいのか!?」というタイミングで狸が自分の運転する車の前に飛び出しました。運良く避けれましたが、最近毎日のように路上で見かける狸らしき野生動物の轢かれた後をみるにつけ、「そりゃ轢かれるよ狸さん…

    • はじめての業務としての出張

      福島県ピアサポート専門研修に見学者?という立場で参加しています。自分が住む南相馬市から郡山市までは車で二時間の予定のはずが交通の混雑のため二時間半かかってしまい、しかも開始時間の把握ミスも相まってまさかの遅刻…😂 人生で初めての出張もピアサポート関連で福岡に行った時だった。 今回は業務として出張に行けることになり、連日開催の関係で今夜は法人負担でビジネスホテルにも泊まれることになった。自己負担を抑えるために、以前郡山に住んでいた友人から教わっていた郡山駅前のスーパー銭湯に

      • 「障害者は社会性がない」という評価に対する対抗言説について最近思うこと

        「障害者は社会性がない」という評価に対して、「そうではない、社会経験を積む機会を奪われてきたのだ」という対抗言説をよく見る。 最近、自分自身体感的にその対抗言説の意味が、ああ、わかるかもと感じている節がある。 関東で自立生活運動の中にいた頃、ぼくが居たCILであるところのNPO法人は、よく言えば「介護者と当事者がいて、どっちが当事者がわからないような介護者が多い事業所」と専ら言われていたのですが、それは裏を返せば、法人に所属する介護者の大部分が「他の事業所や一般社会ではや

        • 家とか作業のできる空間とか

          最近仕事終わりに早く家に帰りたくなる。 だいぶ疲れている時は、誰もいない部屋に向かって「ただいま〜」と言いそうになる時がある。 一人暮らしを始めて13年目だけど、たぶんいままで暮らした部屋の中で一番落ち着くし気に入っている部屋なのだろうなと思う。 あるいは車に乗って帰るというプロセスや一日外で働いてきたという事実が家への愛着を高めている部分もあるような気もする。 ともあれ、「ああ、帰ってきた…」と思える空間が日常に存在するのは素敵なことだと思う。 そんな我が家だけど、

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        • イタリア視察がきっかけで福島県相馬地方に
          12本
        • 近況報告とか書かずにはいられなかったこととか
          6本
        • 当事者研究者、福岡市の精神保健医療福祉分野で働き始めました!
          38本
        • イタリア視察に関する文章
          9本
        • 『当事者は嘘をつく』にまつわる論考
          6本
        • 関東在住の大学院生が福岡移住に至る物語シリーズ
          32本

        記事

          相馬地方生活一ヶ月弱でのゆらぎ

          福島移住を現実的なものとして、イタリア帰りの興奮もある程度落ち着いて考え始めた時、東北地方太平洋沖地震による津波被害やそれに連なって生じた原発被害も受けている相馬地方に「支援者」として移住するとは、どういうことか?という問いは避けては通れなかった。 自分自身への事前学習として、新しい職場の人たちが出版している本を2冊読むことを課した。 さらに引越しの直前には、Amazon primeで視聴可能になっていた『Fukushima 50』も観た。 自分なりの準備や覚悟を以て福島

          相馬地方生活一ヶ月弱でのゆらぎ

          社会人生活@福島県相馬地方

          最近「車で下道二時間の距離なら遠くはない(全然すぐに行ける)な」と錯覚しつつあります。 けどいざ一時間位走ってもまだもう一時間あるとわかると、その都度「まだ一時間あるのかよ!とお!」と当たり前の事実に気づかされる日々…笑 すっかり車社会に馴染んでいる今日この頃です。 以前福島県の中通りに住んでいた友人から聞いたのですが、車社会にあっては、平日の昼間に車にも乗らずに道端を出歩いている人を見かけると「平日昼間から車にも乗らずに外を出歩いている」というその事実をもって、「まと

          社会人生活@福島県相馬地方

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性③

          今日は給与振込のための口座開設手続きをやっとできた。と思ったら一緒にやろうと思っていた家賃引落の手続きをど忘れしてしまった、無念…。なんだかんだ10月1日の入職日まで、新生活の自分なりの秩序つくりにあくせくしそう。 今夜はこの後急遽、中学時代お世話になった先生で現在福島県の白河市の公立中学校に赴任している方に会いに行くことに。会うのは5年以上ぶりだろうか…。 なんか土産用意しないと…と思いつつ、咄嗟に準備できたのがイタリア視察のスケジュール表と製本した修士論文のみ…。重す

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性③

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性②

          今日も今日とてこんな時間から整理の執筆…。 そもそも書き始めた大きな要因を二つ挙げると ⑴福島の相双地域で「支援者」として働く現実が目の前に迫っているので、その前に「当事者」で「研究者」で「支援者」です!という自分の名乗りの意図とか想いの整理をしておきたかった。 ⑵縁あって、とある研究会のプログラム委員会なる組織の委員の一人になったのですが、周りの委員の方々に「当事者」が多くて、しかも当事者運動や当事者活動の歴史には詳しいけど、実は業界の現状に疎い自分でも名前を知ってい

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性②

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性①

          ある人に、「イタリア視察旅行の終盤からしばらくの間、Mr. Childrenの終わりなき旅ばかり聴いてました」と話した。 その人からは、「私の世代だと中島みゆきのヘッドライトテールライトのイメージだったわ」と返事がきた。 そう言われて、プロジェクトXをよく見ていた時ぶりにヘッドライトテールライトを聴いてみた。 聴いてから「イタリアの旅にはやっぱり終わりなき旅だけど、ヘッドライトテールライトは、修論を書き終えてから『修論に社会化されていくぼくの旅』の雰囲気にフィットするな

          精神保健医療福祉分野で「当事者」と名乗ることに伴う危険性、その背後にある歴史性・政治性①

          福島生活3日目

          連日雨が降っています。 連日最高気温が20度を切ってます。 この間まで、太宰府37度…、福岡も35度…。 一度涼しくなったと思ったら残暑頑張るな〜と思っていたのに、一気に17度の世界に…笑 さすがに耐えられず、昨日から長袖デビュー 長距離運転中も日差しいてぇ〜、熱い!冷房が効かねえ!と思っていたのは3日前のこと🤔1400kmも移動すると同じ日本でもまったく気候が異なりますね。 天気が良ければ自転車に乗って、景勝地の松川浦に行こうと思っていたのに未だ行けずにいます。 荷解

          福島生活3日目

          ピアとか仲間とか

          ピアサポートに関する研修資料を少し読んだ時、「リカバリーにはピアサポートが不可欠だ」とかなんとか書いてあった。 正直、こんな価値体系・信念体系があるのかと驚いた。 セルフヘルプグループやピアサポートの文脈で「同じ障害を経験しているから深い共感が生じる」とよく言われているのですが、ぼくには今でもよくわからないのです。 以前どこかの場で、「リカバリーは成功体験みたいにキラキラしがちだけど、"絶望”とかそういうことを語ることも大事なのかもしれない」とか、そういう話題になったこ

          ピアとか仲間とか

          研究について

          投稿する査読論文を執筆している。 16日に搬出作業があるというのに、何一つ引越しの荷物づくりをしていない。 執筆モードに入ると部屋が荒れる。 引用するための論文や本を引っ張り出してそのまま。 いまは「一般的な社会生活」から距離を置いているので、論文の執筆活動がはかどる。10月1日から「正社員として週5フルタイム(あるいはそれ以上)働く」ので、そうなったら、論文の執筆活動はどうなるのだろうな~と最近よく想像をします。 その時はそれなりの「研究」との関係性が待っているのか

          研究について

          福岡から福島へ

          帰福後、関東滞在中の疲れなども相まって数日間くたばっておりました…。今も喉風邪をひきずっております。。が、喉風邪にも負けず、投稿論文の執筆に励んでいます(エライ!)。 ※最近野家啓一(2015)『科学哲学への招待』を読んでいたら、学会の査読を英語では「peer review」と記述すると知って戦慄しました。この「peer」は同僚って意味だろうなとは思いつつ。 表記の件について書こうと思います。 一部の人には、既にお伝えしている内容になりますが、この度、ぼく川田八空は、福岡

          福岡から福島へ

          乖離との向き合い方について

          以前ある人に、「川田さんも社会性ないよね」と言われた。 十年近く前に、当時お世話になっていたカウンセラーに「もうコミュ障とは言えないですよね」と言われた。 これらの言質から察するに、「コミュ力がある」=「社会性がある」では必ずしもないのだろうと思われる。 最近、大学時代の恩師に会って、自分で思っていた以上に「乖離」的な症状が自分強くて酷いのかもな、と思った。 きっとそもそも、「自分の中の複数性でもって客観性を担保する」という発想やアプローチ・考え方自体が、そうそう一般

          乖離との向き合い方について

          「自己愛という鎧」再考

          伊藤公雄 1996 『男性学入門』を読んでしばらくしてから、当該本においてとても有名な表現をもじって、「自己愛という鎧」について、みたいな文章をだいぶ前に書いた記憶がある。 7日に帰関して、父やその他の家族と話していて気づいたことがありました。 それは、「まるで小説の主人公みたいな人生だ…(嘲笑)」という自分の20歳の頃の実感を強化するような自己語りをして/自己物語を作り上げてきてしまったな〜ということでした。 よく兄(次男)に、「やそらさんアスペじゃん」などと言われる

          「自己愛という鎧」再考

          一年間の福岡生活をふりかえる

          「楽しく、幸せに」生きたい!と思って、福岡に来たという語り方をしてきた。 「福岡来ちゃえばいいのに!」という「蜘蛛の糸」に夢中で飛びついて登り切ったと書いてから、「『楽しく、幸せに』生きるんや~!」というのは、関東での生活全般に煮詰まって隘路にはまり込んで、そこでの生活が「地獄」となりつつあった自分にとって、「自分自身に発破をかける/を激励するためのスローガン」だったのかな、と思うようになってきた。 精神保健医療福祉分野で30年以上前から「これからは当事者が主人公の時代だ

          一年間の福岡生活をふりかえる