感性と国語力
今朝TVを観ていたら、子供の国語力が落ちている、という話題をやっていました。
また先日のラジオでは世界の小4と中2の子供たちの国語と算数・数学の能力テストの結果、日本の子供たちは比較的上位に位置している、ということを言っていました。
この二つの話題から言えるのは、「勉強」としての国語力は持っているものの、あくまでもそれはいわゆる「記憶の詰め込み」という日本の学習結果であり、実際にそれを使う能力は衰えている、ということなんだろうと思います。
TVの中では今の子供たちについて情緒的な言葉を教科書では習うモノのそれをどう使うのかについては理解しておらず、実際のコミュニケーションで使われている言葉は本来使われるべきでない言葉が使われている、ということでした。
昔は実際のコミュニケーションの中で、例えば使ってはいけない言葉や相手を傷付けるような言葉を発した時、それを注意されることで「使ってはいけない」と学ぶ機会があったわけですが、今の子供たちのコミュニケーションはSNSが主体となっており、それは外部からは見えないため、そこで使われる言葉が日常の中でも使われるようになったという話でした。
そこに不足しているのは「想像力」であり、その想像力に必要なのは「自分」の考えや想いを言葉に出来る「感性」だと、TVの中では話されていました。
この言葉は相手にどんな印象を与えるのか？
この言葉を相手に言ったら、どう感じるのか？
これらの想像力が決定的に欠如しているため、そこが分からないままコトバを使ってしまう子供たちに将来の危機感を感じている、とも言っていました。
これらの現象を追認するようことが、大学生の中でも起きているという話も出ました。
出演されていた元国語教師で現在は大学の非常勤講師をしている先生は、自分が教えている大学生からこんなことを言われたそうです。
「自分は今まで、自分の想いや考えを発言したことが無い。相手が自分に何求めているのか、どう答えれば相手が満足するかが分かり、自分がそう答えることでその場が収まるように、波風を立てないようにしてきた」
この学生の言葉に、周りにいた多くの学生が共感した、ということなんです。
これは見方によっては彼らは自分の想いや考えを表現したくても出来ない、してはいけない、と考えているようにも思えます。
これはまさしくアダルトチルドレンのそれと一致しています。
結果的に自分の感情が分からないからそれを表現しない、そうすることで身を守って来たとしたなら、それは感性を欠如していても仕方ないなぁ…と感じました。
この感性は、子供の頃に一番必要な学びです。
これはYoutubeの動画を見せているだけでは学べません。
親がどれだけ読み聞かせをしたか、この一点に尽きます。
絵本を読んでその世界観を自由に想像させるような時間、そこで感じたことをそのまま言葉に出来るような時間、それらが今の子供たちには圧倒的に足りない、と指摘していました。
そこで感性が育たないため想像力も育たず、またどんな言葉が相手を傷付けるのかも想像出来ない。
それは自らも傷付く可能性も秘めています。
例えば最近よくニュースに出てくる「闇バイト」の問題。
これだけ連日、闇バイトの非合理性が報じられているにも関わらずその犯罪が減らない一つの要因として、これをやったら自分はどうなるのかが想像出来ないから、ということも挙げられるのかも知れません。
「学習」としての国語の勉強も必要でしょうが、それ以上に自己表現が出来て、自分の想像力を存分に発揮出来るような「国語力」の方が、その人生においてよほど大切、と教えられる時間でした。
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須藤 勝則
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