4/4 『マルドゥック・アノニマス7』を読んだ
前巻で二つの時間軸が合流し、バロットとウフコックもようやくの再会と思いきや再び離れてしまったが、今巻では時間軸もまた二手に分かれることとなった。幸いにして、ウフコックの再潜入作戦は短期で決着し再再会でき、ハンター勢力の一部をも削ることに成功したが、半ば切り捨てられていた勢力の始末をさせられたに等しく、そしてハンター自身も眠りから目覚め、新たに分かれた最新の時間軸ではその力がますます増大している。新たな時間軸には「行われている葬儀は一体誰のものなのか」という謎もあり、実にハラハラさせてくれる。社会的に注目される人物で、かつ、バロットたちとハンターたちの両方からマイナスでない感情を抱かれている……? ボリュームたっぷりな登場人物表を眺めながらじっくり考えれば絞れそうな気もするが、それも怖い。じりじり焦らされつつ、読んでいくしかない。
前巻から出てきたナタリア・ボイルドは、すわラスボスかと思ったが読み進めてみるとどうもそんな感じではない。ファフナーでいうところのアルタイル的な、勝利の鍵のような立ち位置のようだが、それもシザースという世界の中での話で、彼女が今後バロットやウフコックとどう関わっていくのか、予想がつかない。
その彼女が司っているゆらぎ、というのもまだまだわからんな。シザースの中において個人を個人たらしめるもの……上遠野浩平『ソウルドロップ』シリーズにおけるキャビネッセンスのようなもんだろうか? いやあるいは、ジョジョのスタンドの能力がないヴィジョンだけのもの……とか。
あとスクリュウの存在もよくわからん。初期シザースではこいつがゆらぎを司ってるとか言われていたような。現行シザースではまた役目が違っているのか。レザーやラフィも組み込まれてしまって哀しい……
一方、マクスウェルとの決戦シーンは胸が躍った。何より、バロットとマクスウェルの一騎打ちになったときの”かくして、ただひたすらに、相手より速く正確に撃つためだけに投じられた、全額の賭けが成立した。”という一文、このタイミングでカジノ用語を持ってくるかァ!とシビれた。
そして今後の展開に期待するのが、バジルの大学生活編。まさか本当に始まるとは思ってなかった。バジル同様に思ってなかった。しかもバロットの直後輩て。ちょっとコメディ感もあるが、バジルならば大学で得た知識を確実に組織に活かすであろうし、あまりニヤニヤもしていられない。が、とはいえ、バロットとのやりとりは、なんというかこれぞ正しい……かどうかはわからないが、穏やかな意味での「均一化」ではあるよな……とも思えてしまい。なんにしろ見逃せない。とうとう法廷闘争編も始まり、いよいよ最終章開幕といったおもむきだ。……しかしバジル、34歳って本当?偽装?思ってたよりいってて衝撃……って思ったけどよく考えたら俺と一個しか違わんな。それも衝撃。
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