記事一覧
新宿方丈記48・「大切なことは何?」
年が明けた。2021年。
大掃除が何も片付いていないのにお正月が来てしまった、そんな気分だ。実際のところは粛々と大掃除を進め、いつになくすっきりとした部屋で年越しを迎えたけどね。ここにこんなこと書きたくなかったけれど、いつかまた平穏な日常が訪れた時に、ああ、と思い出して懐かしく思えるように、あえて書くことにした。
年が変わっても世界は何も変わらない。コロナの勢いは加速するばかり、逼迫する医療施設
新宿方丈記・47「あの夏のAlone Again」
夕方、コンビニのレジに並んでいる時、聞き覚えのある切ないメロディを耳にした。でも一瞬思い出せなかった。それくらい久しぶりの出会いだったのだ。ギルバート・オサリバンの「Alone Again」。途端に記憶は30年遡る。
時代はまだ、バブルの最後の尻尾くらいだったろうか。貧乏な美大生にバブルなんて全く関係なかったけれど。ただただ汗だくで機材を抱えて、映画を撮っていた頃だ。バイト代を制作費や現像代につぎ
新宿方丈記・46「炊飯器がやって来た!」
上京して以来、およそ30年ずっとお世話になってきた炊飯器が壊れた。…というよりは、引退の潮時を迎えた、といったほうが正しいな。正確な日付は覚えていないけれど、数年前にまず、蓋の蝶番が割れた。でもこれは本体を抱えて持てば全く問題なかった。さらに数年後、今度は接触が悪くなってスイッチを入れるのにコツが必要になった。おそらくコードの一部が切れていたんだと思う。でもこれも、捻ったり叩いたりの家電昭和ルール
もっとみる新宿方丈記・45「CHEWING GUM!」
若い頃はあんなに、毎日と言っていいほどライブハウスに通っていたのに、今では年に何本、というくらいすっかりご無沙汰してしまっている。それに、ライブに行ってあんなにワクワクしたりはしゃいだりすることも、なんだか気恥ずかしい。いつの間にかそんな年齢になってしまったのか。本と映画、それにレコード・CDはあいも変わらずだけれど、ライブは一度足が遠のくと、なかなかねえ…。危うくそんな、つまらない大人(!)みた
もっとみる新宿方丈記・41「言葉を紡ぐことは」
しばらくの間、文章を書くことが嫌になってしまった。というのは正確じゃないな。自分で自由に文章を書くのが、と言った方が正しい。だって出勤してから退社するまで、ほぼずーっと仕事で何かしら書いているのだから。語弊があるかもしれないが、ビジネス上の文章なんてどうにか切り抜けられるのだ。仕事として受けたのだから、どんなものでもクライアントの意向に沿って、規定上のルールに則って、なんとか形にすることができてし
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