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心に寄り添うこの一冊:「みうらじゅんのフェロモンレコード」
90年代半ば。私は20代で、今で言う社畜だった。
残業は平均して月40時間。それでも仕事のあとには同僚と飲みに繰り出し、それなりに有意義な日々を送っていたつもりだ。
そんなある日、私は一冊の本と出会う。
表紙をめくり、ページをめくり…
一心不乱に読み進めていった。
最初から最後まで、ずーっと大笑いしていた。
蓄積した疲れも吹っ飛ぶほど。
それ以来、辛いときも悲しいときも、病めるときもすこやかなるときも、私はこの本を手に取っている。
その本とは:
みうらじゅん氏が集めてきた「トンマ」で「エロ」なレコードジャケットがドカンと掲載されたのだから、面白くないはずがない。
氏の独特な文体もクセになる。大いに影響を受けた私であった。
それに、いろいろなことも学んだ。
TRFのSAMがリフラフのSAMとして写っているジャケットも初めて見たし、NHKで再放送中(2019年10月現在)の『おしん』で「お加代さま」を演じている東てる美が、日活ロマンポルノの出身だということを、この本で初めて知ることとなる。
言わずもがな、コンテンツとしては70年代がメインで、みうら氏よりも一世代下の私にとっては、ノスタルジーとともに、当時見ることのできなかった大人の世界がムンムン漂うものであった。
じゃあ、お加代さまの歌を聴こうじゃないか。
挑戦的な表情の割には、歌声は浅田美代子っぽくもある。
まあとにかく、この本が面白すぎて好きすぎて、のちに私がイギリスに住むことになったとき、スーツケースに入れられ、そして帰国の際には持ち帰り、今でも私の部屋の本棚に鎮座している。
その後文庫化もされたようだが、残念ながらいずれも絶版になったようだ。
でも中古でまだ入手できるようなので、関心があればぜひ手に取って、大笑いしていただきたい。
さて、明日も早起きして『おすん』見っぺ。
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