エリザベス・キューブラー・ロス『死、それは成長の最終段階』「結び」(すべてを得るためにすべてを捨てる)
人類が生き残る道はただ一つ、
一人ひとりが自分の成長と他人の成長にみずから身を投じ、
積極的に関わることである。
つまり、
愛と思いやりの人間関係を育て、
そのなかですべての人間が自分の成長と幸福と同じように、
他人の成長と幸福にも心を砕かなければならないということだ。
個々人の成長に心を砕くことによって、
人間は人類全体の成長と発展・進化にも貢献することになる。
人類がなりうるもの、
そうなるように決められているものになることが進化であり、
その鍵が死である。
なぜなら、
人間にとっての本当の死の意味を理解してはじめて、
私たちは自分が運命づけられているものになる勇気がもてるからである。
宇宙において
人間がいかなる存在なのかを理解すると、
人間は成長してそれを受け入れられるようになるだろう。
だが、
その答はこのページには記されていない。
答はあなたのなかにある。
内面の強さの源になり、
それを伝える道になれるのは
あなたなのだ。
しかし、
すべてを得るためにはすべてを捨てなければならない。
何を捨てなければならないのか。
それは、
本当の自分でないものすべてである。
選ばずして選んだもの、
価値を測らずにして価値を与えたもの、
自分自身で判断せず誰かから押し付けられて受け入れたものすべて、
そして、
自分や他人を信頼したり愛したりできなくしている自己不信である。
では
何を得るのか?
それは他でもない。
真の自己である。
心穏やかで、本当の意味で愛し愛される自己、
自分がどうあるように決められているのかを理解している自己である。
自分自身であるためには、他の誰であってもならない。
「他人」(誰であろうと)に認められることを諦め、
自分の価値判断基準からみて
自分の志を達成したかどうかという点から、
成功や失敗を自分で評価しなければならない。
これほど簡単なことはないし、これほど難しいこともない。
人間が今後生き残る道は
自分を愛するように、他人のことを愛するようになるということだ。
自分の幸福を望むように、他人の幸福を望むことだ。
自分だけが愛される、自分だけが幸福になることなど
実現することは
不可能ということを
長期的視点から理解することが必要だ。
人類の進化ということは、
自分以外の他人の幸福を共に願い、そして実践するということだ。
そのために必要なことは、
これまでに押さえつけられてきた自分自身を取り戻すことだ。
「すべてを得るために、すべてを捨てる」
自分自身でないものすべてを捨てる。
そして
真の自分自身を手に入れる。
自分の評価を
他人に委ねることなく
自分自身の中の価値基準で
自分を評価することが
自己の解放となる。
そうなるためには
他の人に認められることを
諦めなければならない。
それが本当の強さとなる。
そして
誠実が残る。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをお願いします。