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「日本再興戦略」を読んで。


遅ればせながら、
落合陽一さんの「日本再興戦略」を読んだ。


簡潔に言ってしまうと、この本は

難しいけれど、非常に面白かった。


この本を、本質的に読み解くには

歴史、政治、経済、テクノロジー、教育

における

知識ではなく、根本的な教養が必要だと思う。

改めて、自分の教養の底上げが必要と感じた。


注釈もたくさんあるし、文章自体は
だいぶ優しく書かれているのだろうから
まぁ、万人が読んでも問題はないと思う。


本って、読み終わると
意外と全容が思い出せないので

忘備録として、
自分が興味深いと思った箇所を
抜粋して書き留めてみる。


1.日本はIT鎖国ができなかった


“日本は中国における、アリババやテンセントやバイドゥを生み出すことができず、IT鎖国した当日の中国をバカにして、グレートファイアウォールと揶揄していた。”
“結果、鎖国に失敗しミクシィの存在感は死んでしまった。”
“日本発のIT企業が誕生していればアマゾンはその企業と連携せざるを得なかった。”


2.「グローバル化」を疑う


“「欧米」という概念と、「グローバル化」という言葉に日本は振り回されている。”
“グローバル人材に必要なのは英語と、一時期よく言われたがグーグル翻訳がこれほど進化した時に同じことは言えない。”
“英語を勉強したいと言う人に「英語で発信したいことがあるのか?」と問うと、答えは返ってこない。”
“「欧米」や「グローバル化」など定義できないふわっとした言説は疑ったほうがいい。”


3.これからの時代は百姓を目指すべき


“一周回って士農工商のモデルが時代の最先端にきている。”
“AIが普及すると、「商」のホワイトカラーの効率化が進む。”
“特に専門性がなく、オフィスでエクセルを打っていた人は機械に置き換わる。”
“一方で、何かモノを創り出せる人や百姓のように色々なことができる人が今後、必要になってくる。”


4.価値観がインストールされている


“よくディズニーランドに行くことが幸せという人がいるが、その理由を聞くと「ディズニーが好きだから」という答えが多い。”
“しかし、それは信仰に近い考え方であり自分の中に、いつの間にか価値観がインストールされている。”
“日本人は普通という概念に囚われすぎている。多くの人は普通こそが、天地神明の理だと思っていて全てのことを普通で片付けようとする。”
“しかし、普通が一番だと思っていることが間違いであり、普通であることは最適解ではなく、変化の多い時は足枷となる。”


5.二項対立で考えることから抜け出す


“ManとWomanの差を考えた時に、男女差別は、Manの意味が規定された時から潜在的に始まった。”
“健常者を生み出したから、障害者が生まれ、男女で結婚することが当たり前としたから、LGBTが生まれた。”
“これらは人を標準化するということから生まれたものであり、近代的教育を施して人を均していくことをやめなければならない。”
“それこそが、これらの問題に対する抜本的な解である。”


6.デジタルネイチャーの世界


“今後、Botと人間の違いがわからなくなる。現時点で既に、りんなちゃんとトークすると人間とAIの違いがわからなくなってきている。事柄によっては、世間の女子高生より、りんなちゃんのほうが、よく知っている。”
“さらに、CGと実物の見分けがつかなくなる。CGの解像度が上がるに連れて水槽の中の金魚と、CGの金魚では見分けがつかなくなる。人間が、生け花と造花の違いを視覚的に気にしないのと同じ状況が起きる。”
“人間もまた機械やバーチャルと融合していく。今後、腕や足の機能を機械で補う人間が多くなる。例えば、足が動かなくなったお年寄りが外骨格をつけて生活をする。”
“人間が、機械と融合することによって近代社会に生まれた障害者と健常者という考えがなくなっていく。”
“そして人間の肉体としての差は今後、大きな問題ではなくなる。いま人間が、近視を大きな問題としないのはメガネというテクノロジーが解決するから。”
“それと同じように手が動かなくなれば、義手や外骨格をつければいいだけの話になる。そしていま、障害と言われてるものは単なるダイバーシティの1つになる。”
“障害者も、介助者が必要な高齢者も「体のダイバーシティが高い人」という位置づけになる。”
“全身を動かすことのできない老人がいたとしてもパワードスーツを着用することによって自由に動き回ることができる。”
“認知症の影響で1日分しか記憶がもたない老人がいたとしてもヘッドマウントディスプレイが補完することによってダイバーシティ的には問題のない社会になる。”


7.変化へは例示と対話で説得できる


“テクノロジーによる変化を受け入れない層というものは一定数存在するが、例示と対話で説得することができる。”
“例えば、介護ロボットの導入を促す時には自分のお尻を人間に洗ってもらうのと、ウォシュレットに洗ってもらうののどちらが良いかと尋ねると、大半はウォシュレットと答える。”
“それと同じように、ロボットアームに自分のオムツを替えてもらうのと、人間に変えてもらうののどちらが良いかと尋ねれば、ロボットアームとなるはず。”
“「ああ、ウォシュレットと同じことか」と納得してもらえる。わかりやすい例示を出すことで新しいテクノロジーを受け入れてもらえやすくなる。”


8.これからのリーダー2.0


“今までのリーダーの理想像とは1人で何でもできて、マッチョで、強い人という、中央集権的なリーダー。これをリーダー1.0とする。”
“しかし、これからのリーダーは1個の独立した完璧な個人である必要はない。リーダー2.0は全て自分でできなくても全く構わない。何か1つ、ものすごく尖っている能力があればよくて、足りない能力は他の人に補ってもらえばいい。”
“リーダー2.0の、1つめの条件は「弱さ」。共感性の高さが求められる。”
“2つめの条件は、「意思決定の象徴と実務権限の象徴は別」。個々人は自分の得意分野に特化すれば良くて、全ての実務権限を統括している人はいない。”
“3つめの条件は、「後継者ではなく後発を育てる」。自分の後を継ぐ人ではなく、新しいジャンルや新しい会社をつくるような人を育てる。”
“愛されるためには、「自分は何でも出来る」と言ってはいけない。偏りのある人、ある分野に才能があるけれど全然ダメな所もある人の方が周囲も手を差し伸べやすい。”


9.「わらしべ長者」をなめていた


“逐次的にやっていくことが重要であり、機会を伺って動き出さないことにはただの機会損失になってしまう。”
“逐次的に打席に立つことを敬遠してしまう。わらしべ長者のような、泥臭い作業が自分に見合っていないように見えてしまう。自分の実力はそのレベルであるのに。”


10.ポジションをとれ


“「人間の良さはモチベーションである。」リスクを取るほど、モチベーションが上がるというのは機械にはない、人間の良さである。”
“機械は正規分布の中にしか吸収されないのでリスクを取るほどモチベーションが上がるという状態は、統計のなかでは出てこない。リスクを取ることは、機械は苦手なので人間はそこを強くしなければならない。”
“ポジションをとって手を動かすことによって人生の時間に対するコミットが異常に高くなる。”
“ポジションを取ることは難しいことではない。結婚することも、子供を持つことも転職することも、投資することも勉強することも全てポジションを取ること。”
“世の中にはポジションを取ってみないとわからないことがたくさんある。わかるためにはとりあえず、やってみることが何より大切。”


引用:落合陽一著 「日本再興戦略」 幻冬舎

※一部、文言に違いがあるが引用と表現する。


自分はやっぱり、
デジタルネイチャーについての部分が
特に興味深かった。


これら以外にも、
たくさん面白い部分があったが、割愛した。

非常に面白かった。

読んでくれてありがとうございました。