マーケティングが成功すれば営業職がいなくなる!?
人生最高のチーズケーキ
仕事をするうえで、マーケティングという言葉を使うと思いますが、マーケティングの目的はなんでしょうか?
マネジメントの父と呼ばれる、ピーター・ドラッカー(1909ー2005)は、著書『マネジメント エッセンシャル版』(2001)の中で、「マーケティングの究極の目的とは、セリングを不要にすることである」という有名な言葉を残しています。
セリング(selling)とは、その言葉通り、物を売ること。つまり、お客さん(顧客)に製品を売って、買ってもらうことです。
しかし、ドラッカーによると、マーケティングが成功すると、このセリングが不要になると言います。
マーケティングとは、「どうやって商品やサービスを買ってもらうかを考えること」だと思われがちですが、マーケティングとは、「売らなくても、売れる(買ってもらえる)仕組み作り」のことを指します。
製品(やサービス)を作って頑張って売るのではなく、お客さんが望む製品を作れば、黙っていてもお客さんから自然と買いに来るので、売る必要はなくなるということなのです。
Mr. CHEESECAKE(通称、「ミスチ」)の事例が分かりやすいので、ご紹介したいと思います。
ミスチのチーズケーキは、元々フレンチレストランのシェフであった田村浩二氏(現在、株式会社Mr. CHEESECAKE代表取締役)が、究極のチーズケーキ作りを試行錯誤し、そのチーズケーキをInstagramにアップしたところ、買いたいという声が寄せられ、売り始めたというのがスタートです。
つまり、ミスチの商品は、セリングを行っていないにもかかわらず、売れています。
ミスチは現在でも、一切の広告をしていません。店舗も持たず、EC販売のみです。それどころか、そのチーズケーキのレシピは公開されており、自分でも作れるのです。それでも、発売早々に売り切れてしまいます。
ミスチの会社組織の体制がどうなっているのかは分かりませんが、もし、他の企業においても、マーケティングが完全に機能した場合、マーケティング部門(企画・広報部門)と販売部門だけになって、営業が不要になるかもしれませんね。
暇つぶしのミルクシェイク
先に、ミスチの例を挙げ、お客さんが望むものを作れば、売らなくても買ってもらえるという話をしました。
マーケティングとは、顧客が本当に欲しいものを探し続けることなのです。
しかし、お客さんにあることをしたら、ミルクシェイクが売れるようになったのです。一体何でしょう?
これは、クリステンセンのジョブ理論と呼ばれています。
ジョブとは、ある特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩のことです。
顧客は単に商品やサービスを購入しているのではなく、解決したいジョブがあり、それを片づけたくて、その商品やサービスを雇用(消費)するという考え方です。
これらも、顧客が求めるものは、表面ではなく、本質を探れということを表しています。
会社でも、顧客アンケートやモニタリング、サンプル調査ということで、様々な情報を収集して、それをもとに改善・改良をしますよね。
しかし、それで、本当に顧客のニーズや要望、不満などが測れているでしょうか?
顧客が本当に望むものをマーケティング用語では「中核的要素」と言います。この中核的要素を探していくことが、マーケティングです。
それが上手くいけば、セリングが不要になるというのが、ドラッカーの言っていることなのです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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