270年前の世界を想う
たまたま調べ物をしてたら、
「長沢芦雪」の展示が中之島美術館で開催されていることを知った。
中之島美術館は2022年にできた新しい施設で、
国立国際美術館(現在休館中)のお隣、というか真向かい、というか。
位置関係をはっきり定義できないところに方向音痴さを証明してしまっている。不甲斐ない。
とにかく、美術館が目と鼻の先にふたつもあるということである。
中之島美術館ができたことを知らなかったので
アクセスを調べたときに混乱したのも納得の距離。
国立国際美術館には「ロンドンナショナル・ギャラリー展」以来、足を運べていないが、あの時に見たモネの「睡蓮の池」が忘れられず、私は睡蓮と名乗っている。
私はあの絵を目にした瞬間
一度死んで、生まれ変わった。
特別展 生誕270年 長沢芦雪
-奇想の旅、天才絵師の全貌-
一目観て仔犬のやわらかさに惹かれて、
絶対観に行こう!と決めた。
いちばん有名なのは仔犬で間違いないのだろうが、
展示には様々ないきものがたくさんいた。
私は歴史に詳しくないが、
寺に奉納したりもしていたという理由からか
縁起物も多く、神様もいた。
絵をみて「縁起がいいなあ」と素直に感じたのは初めてのことで、それ相応に歳をとったのだなと他人事みたいに流した。
情緒を感じ取れるようになったのは良いことなんだけれど。
ここからはそれぞれのいきものについて触れていこうと思う。
虎の迫力と愛くるしさの両立に感動して。
丸々とした体格に耳はほとんどなく、
模様は鮮やかで牙も目つきも鋭い。
だが、どことなく人懐こさを感じるのは、
丸い顔とちいさな耳のおかげだろうか。
鳥の美しさに見惚れて。
孔雀の羽根の豪華さ、繊細さ。
鴉のもふもふ感。もふもふなのにカッコイイ。
普段目にするカラスとは違うな、と思う。
雀の愛らしさ。ちいさく、可愛く、表情豊か。
花鳥というように、花と鳥は相性抜群。
花も繊細であざやかで素晴らしい。
猿の顔に驚いて。
どんなに顔の面積が小さくなろうと、
しっかり表情を描くところに長沢芦雪のこだわりがみられる。
水浴びしてる猿の気持ちよさそうな表情が好き。
そして、広告にもなっている牛の迫力に圧倒された。
目に使われた藍の力が凄まじく、
透明感というより吸引力を感じた。
よく見ると、こちらを見て笑っているようにも見える。
絵画はときに、写真を超える。
購入グッズ
とにかく虎と仔犬のグッズは欲しかった!
虎と龍のダブルクリアファイル、
仔犬のブロックメモ、あと画録と、
1階のミュージアムショップでテート展のものと思われるポストカード
(一旦行った気になることにした)
画録はだいぶ悩んで買った。
中には展示されていない作品も収められていて、
それなりに値は張るが、じっくり見てみると、
いや、逆に安いのでは?と思えるくらいのボリューム感。
仕掛け絵本みたいに開けるページもたくさん、
解説もたっぷり。
買ってよかった。
結びに代えて
展示会に足を運んだ日は、自身の誕生日でした。
毎年自分の誕生日は休みにすると決めていて、
例年通りに行くとダラダラコースのはずで。
誕生日を祝ってほしいなんて恥ずかしくて言えないし、
働かない日、というだけでも十分だった。
しかし最近は忙しくて気持ちが荒れがちだし、
せっかくならいい一日にしようと思って。
反省点は、もう毎度のことなんですが
ひとり行動のとき、ランチを食べ損ねたこと。
次どこかへいくときは、
どこで食べるかちゃんと決めておこう。
展示を見たあと、
百貨店でお持たせを買って祖母の家へ。
阪神がアレしたから、虎の模様のどらやきを。
実は長沢芦雪展のグッズでも、コラボグッズが販売されていたんですが、
花より団子を採用しました。
祖母は私が買ってきた図録を楽しそうに眺めて、
「これを描いた人はきっと優しい人だったんだね」と何度も言いました。
なんだか、とてもうれしかった。
芦雪の描くいきものたちが活き活きしているのは、
確かな愛情がたくさんこもっているからなんだって。
天明6年。
絵の中から今にも飛び出してきそうな龍を見ながら
当時芦雪が生きた世界を、
芦雪が過ごした様子を想像した。
龍は本当に架空のいきものなんだろうか。
中之島美術館の会期は12月3日までですが、
その後九州に巡回するとのことなので、ぜひ。
応挙芦雪館のある無量寺にもいつか行ってみたい。
近隣に海中公園もあるそうなんです。
今回の美術館訪問は未来へ心躍る、
素敵な時間となりました。
それでは、また!
この記事が参加している募集
いただいたサポートはありがたくおやつ代にさせていただきますω'))