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思えば、奇妙な推し方をした『ソウルサクリファイスデルタ』の話

物語の「書き手」は彼を救わなかったのだろう。
だからこそ「読み手」の私は苦しかった。

前提となる記事
「ゲーム発展国++」で夢女になった話
世界の仕組みに抗うことが感情移入のきっかけになる

ここでの『宮沢はやと』と同じような感じで好きになったキャラがいたのを思い出しました。
ソウルサクリファイスデルタのプウィルです。誰?

そもそもソウルサクリファイスってどんなゲーム?

そこから説明しないと本当に読者を置いてけぼりにするのでざっくりと。

ソニーがPS VITAに出したいわゆる「狩りゲー」ジャンルの作品です。
ソニーは当時、頑なに同ジャンルの作品を「共闘ゲー」と呼んでいましたが、売り文句は「魔法で狩ろうぜ!」でした。やっぱ狩りゲーじゃねえか!

で、そうである以上は当然狩る対象がいる訳です。
魔物の名前はハーピーだったり、グリフォンだったりとファンタジーではおなじみの名前が多いのですが…。

それがかと言うと「人間」です。
もっと言うと欲望を持った人間の目の前に『聖杯』が現れた結果、その願いが叶うことで「人間」から「元人間」となった「人型魔物」なのです。

この時点で私のnoteを以前から読んでくださっている方は思ったかもしれません。性癖で買ったな? その通りでございます。

閑話休題
そしてその作品の魅力は狩りゲーとしてのシステム部分よりも「世界観」ひいては「物語」にあったように思います。

本編も非常に感動的なのですが…本題から逸れるので割愛します。
気になった方は是非買ってね!

先ほど狩る対象は「元人間」の魔物であると話しましたが、実はその「人型魔物」ひとりひとりに魔物になるまでのエピソードがあり、文献として読めるのです。これが短編小説として普通に楽しい。
一番キャッチーかなぁと思う元魔物をひとり解説するならこれ。
ソウルサクリファイスのアップデート版であるデルタで追加された魔物です。

https://www.youtube.com/watch?v=j5XO5LJxmG8

「裸の王様」 別名「昂ぶる変態王」
王様としては名君だったけど露出性癖があり、その丸見えになった姿を見て欲しいという願望が叶えられて内蔵までスケスケの魔物に…。

あの、すみません。引かないでください!
別に魔物になった人全員が変態ってわけじゃないんです!
彼が特別おかしいだけです! おかしい人を紹介するな!
ドキッ! 変態だらけの生贄大会! ドMもいるよ!(本当にいる)

話を戻しますが、普通にシリアスな背景を持った人型魔物もいます。
最推しがそれです。

本題。私の推しの「人型魔物だった人」

冒頭で説明した、ソウルサクリファイスデルタのプウィルもまたそんな魔物になった元人間のひとりです。
魔物としての名前は「キメラ」 別名「感情なき殺戮戦士」

https://www.4gamer.net/games/232/G023263/20140210069/

「人型魔物」としての彼はこちらにまだストーリーが記述されてるのでこちらを参照。
文献から一部記述のカット自体はありますが、概ねこれが全てになります。

こちらでもざっくり言うと、どうしようもないほどに心優しい男の子が、父親から半ば虐待に近い形で鍛えられ、その最後に「父親を殺す」という試練を化されたものの、当然それだけはできないと苦しんだ結果「父親の望むような冷血な戦士になりたい」という願いが成就されてしまったため、目につく物全てを殺戮して回るようになってしまった…。

なんてかわいそうなんだ!!!
この作品は人間の「欲望」が作品全体を通してテーマになっているためか、魔物たちの文献も自業自得な物語がとても多いです。
狩りの最後に「魔物を狩って生贄にする」か「救済して仲間にするか」という選択肢があるためか、適度に同情しにくい描写のある魔物が多いのでしょうか。露出狂やドMにどう同情しろと。

しかし「どこに非があって、彼らは魔物にならなきゃいけなくなったんですか?」という理不尽で悲しい文献も中にはまじっていまして…プウィルもそのひとりだったのです。

余談ですが、魔物に一定以上ダメージを与えると、彼らの過去を匂わせる台詞が浮き上がってくる人の心がない演出があるのですが、キメラもまた過去の煩悶の台詞が浮かび上がってくる。
当時の攻略wikiが残っており、有志が台詞も書き起こしてくれているのでぜひ読んでみて欲しい。

http://wikinavi.net/soulsacrifice/index.php?キメラ#pf25fc3f

先ほど少し触れましたが、救済すると仲間(同行者)にできるので、サンクチュアリ(世界観的に生贄派と救済派、運命派の派閥がありその中の救済派に属する)にいた時を中心に、同じく救済派の魔法使いになった彼のことを連れ回してました。

ところで、基本的に魔法使いは生贄の数が多いか救済した数が多いかで腕の色が変わる設定があります。
救済派の同行者は「聖の腕」であることが多いです。
でもプウィルは魔の腕Ⅱなんですよね…。

文献の内容的に魔物だった時に殺した数が多そうな同行者は救済派でも救済した数より殺戮数が多いせいで聖の腕になれないのだと解釈しています。
本来心優しくて、殺戮マシーンになることを聖杯に願わないと、人を殺すことなんて絶対にできないであろう彼が、魔の腕になるほどに…?

(参考までに文献の記述が聖人過ぎる人型魔物代表、ハーメルンの笛吹き男だったウィティウムスというキャラの場合は聖の腕Ⅳです。彼も非常に好きです)

ところで、当時彼を他に推している人はいたのか?

私の記憶にある限り、推しというほどの人はいなかったと思います。
というか、人型魔物推しはいても魔物だった人間にまで興味ある人がたぶんすごく少数派だったと思います。
狩りゲーとして楽しんで、文献を読んでない人も当時普通にいたようなので

大抵のプレイヤーは本編で関わってたり、「魔法使いの活動」という番外編でしっかり主人公との絡みがエピソードとして描かれている同行者に惹かれるのが普通でもあるので。
実際魅力的なストーリーやキャラが多いので世界観含めてそのキャラ達も大好きです。

でも厄介なことに、そんな物語の中で、プウィルが最推しと言えるほど刺さったのは「そういうエピソードが描かれてない」からこそなのではないだろうかという疑いがあります。
さすがに彼の人となりを知る文献がある以上「ゲーム発展国++」の宮沢はやととまったく同じ状況ではありませんが。

元魔物(オリジナル)としては3Dモデルこそ専用のものが用意されていますが、台詞が汎用(記憶が朧気ですが、基本は何人かの同行者と共通の台詞であるはず)なので本編&外伝キャラほど特別なキャラではありません。

だからこそ、想像の余地があったのかな、とも…。
何せ、悲劇的な立場でありながら本編で救われた描写がないということです。不幸になったとも書かれていませんが。
(正直ストーリー上、アヴァロン(生贄派)の長の目の前に現れてるという最悪な状況なのでその時点でどう考えても生贄にされている。というメタで救いのない考察はできてしまう)

※以下解説してない用語がばんばん入ります。解説するとネタバレになるので古いゲームですがよければプレイしてみてね。

リブロムの製作者である物語の「書き手」は彼を救済してる可能性低いとは思うよ! でも「読み手」はどうかな!
そもそもリブロムも、本来書き手であったはずの主人公の名前すら改竄しちまえみたいなことは平気で言ってくるし!
それなら! 物語の中くらいプウィルの物語を、改訂しちまってもいいだろ? なぁ!?

…という強い気持ちがあったような気がします。当時の私。
ゲームを知る方がこの記事みたら、本当に同じゲームをプレイしてる? とつっこまれそうだ。

※「ゲーム発展国++」といい、そういうプレイばかりしてるように見えると思いますがさすがに稀なパターンです。だからこそ記事にするほど語ることがあるということでもあります。


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