【第一章 出会い】 カエルさんは黄緑色がお好き?
営業に行くときはスーツにネクタイ。そうじゃなくともこのスタイルが好きです。
シャツとスーツ自体をコンサバなものにすれば、ネクタイは逆に「パンツ」と違って多少派手でも許せちゃう。
デザイナーとしてのアイデンティティを醸し出せるとして、あの頃、どんどんコレクションを増やしていきました。
ただ悩ましいのは、毎日自分が納得できる適切なネクタイを選ばなければならないということ。しかも、忙しい朝の時間に。
何か効率的な良い方法は無いものか・・・。誰か選んでくれないかな。
でも妻にネクタイを選んでもらうなんてムリな性分。チェックくらいはしてもらいたいけどね。
毎日のことだから、やっぱりある種のストレスにはなります。
ある朝、ネクタイ選びに難儀していた時、その日にアポイントをとっていた「クライアントAさん」の顔が頭に浮かびました。
Aさんはどこか気難しい感じの女性で、打ち合わせがスムースにいかないのはいつものこと。
「朝から気が重いな・・・そういえばAさんってカエルみたいな顔・・・してるな。」
失礼ながら、そう考えて重い気分を明るく茶化します。
「今日はカエルさんに会うからこの黃緑色のネクタイをして行こうかなー。」
カエルだから黄緑色。なんという短絡的な選定。あなたデザイナーですよね?
Aさんの気分が良いと助かるな・・・。
そう思っていたのもつかの間。なんと、Aさんは私の黃緑のネクタイを見るなり「そのネクタイ、良い色ですね♡」と微笑んだのです。
「マジか ! やっぱりカエルだから黄緑が好きなんだ!」
もちろん心の声ですよ(笑)
「ありがとうございます」と心の声が漏れないように御礼だけを言いました。
カエルさんの気持ちをアゲアゲに出来たのかどうかはわかりませんが、打ち合わせは非常にスムースに終了。
これに味をしめた私は、毎日その日に会う誰かの顔を思い浮かべながらネクタイを選ぶようになったのです。もちろん、TPOとセンス的な要素は加えてですよ。
そういえば、デザインの時に「色」を決める時も、そんな感じでうまく行っていたかも。
似てるとか似てないとかじゃなくて、その人の顔を思い浮かべて仕事をすると「うまくいく」という法則は、前から実践していました。
今回はちょっと妖艶なBさん。クライアントの中でもセクシー度高めの方です。
「セクシーとか癒やし」というキーワードにマッチするカラーは紫。
よく紫を選ぶと「欲求不満」だなんて話があったけど本当かな?
でも私が欲求不満なわけではないですよ。
あくまでも相手に合わせるのが、このメソッドですから。
「よし、Bさんはセクシーってことで薄紫で行ってみようか。」
はい的中。
「望月さ〜ん♡ネクタイが素敵ですね・・・・♡ 」
言葉のニュアンスに、ハートマークが飛んでいたかどうかはともかく、打ち合わせは素晴らしくうまく運び、提案がすんなり通ります。
誤解なきように申し上げますが、頭を何度もひねって生み出した、完璧な提案でございますよ。はい。
その日に会う方の「顔」とか「雰囲気」でネクタイを選ぶっていい!これアリ!
完全に自分勝手な “ ヒモ付け ” ではありますが、このメソッドは不思議と物事がうまく進むのです。
営業の無い日には、クライアント以外に対象を変えてみても、概ね結果は良好。
外注の担当者はクマみたいだから「ブラウン」。
よく行く喫茶店の娘は、子ブタみたいだから「ピンク」。
飲み屋のマスターは、海の生き物みたいだから「オーシャンブルー」といった要領でね。
で、なにかこう、目の前の方が自分に味方してくれているような、同調してきているような、不思議と自分にとってやりやすい環境というか、そんなムードになるのです。
私自身、良いことは率先してインフルエンサーになっちゃうタイプ。
このメソッドを語りまくり、一時はちょっとしたブームになった程です。
ま、自分の周りだけですけどね (笑)。
いよいよ次は <第二章>あなたのパンツは何色ですか?へ突入します !!
願いはパンツの色に反応する?
へ続きます。