独占という名のブルーオーシャン
この記事からの続きです。
そのビッグニュースとは・・・。
ドラマーなら誰でも知っている【 テリー・ボジオ ( Terry Bozzio ) 】。
彼がDWの専属契約アーティスト ( 業界用語ではエンドーサーという ) になったのだ。
そのドラム業界的BIGニュースは、本当に突然舞い込んできた。
「社長、千載一遇のチャンスです!カラー広告打ちましょう!」
この機会を逸す理由はない。
雑誌の広告コスト、しかも「カラーで全面」は決して安いものではないが、
" テリー・ボジオで広告を打つこと = 爆発的な売上をあげられる "
このことを約束されたようなものだ。
その頃も、雑誌広告は出すには出していた。
しかしそれは「モノクロ」で、売上を予測しながらページを占める面積を決めるという極めて現実的なもの。それはそれで必要だと思うし、理にもかなっている。
ただ、今回に関してはまったく事情が違うのだ。
経営者というものは「お金」を使うことを躊躇する。
この時はまったく理解出来なかったが、今はその時の社長の「葛藤」がわかる。
「売上は、口座に入金されて初めて信じられる」からだ。
しかし私は、この千載一遇のチャンスをどうしても活かしたかったのだ。
もし売上が広告コストを凌駕できなかった暁には「自分が責任を持つ」という " デカイ口 " を叩いて、社長の首を何とか縦に振らせた。
あの時の社長の顔は今でも忘れられない (笑)。
ここでのブルーオーシャン・ポイントは・・・
◎ DWと販売独占契約 ( エクスクルーシブ契約 ) を結んでいたこと
しかも受注生産品は、商品がほとんど出回らないため並行輸入もしづらい。
よって、このブランドの国内ビジネスに限っては独占的だ。
これを " ブルーオーシャン戦略 " と大きい声で言えるかどうかは微妙だが、そのブランドの人気が集中すれば、間違いなく市場を独占出来る「仕組み」を持っていると言える。
ただ・・ここだけの話・・・「爆発的に売れる」とは言い切れない本音も実はあった。
だって売ってみないとわからないでしょ(笑)。
さぁ、結果を出さないとね。今度は私が格闘する番だ。
ボジオの宣材写真と共に
「超限定入荷だぜ。この機会を逃したら半年は入荷しないぜ。」
と、全国の販売店にアナウンスしまくった。
DW EDGE® Snare drum copyright Drum workshop
実際のテリー・ボジオモデルは、ブラックサテンオイルフィニッシュ。
当時の実勢価格で20万円もする「スネアドラム」は、予定入荷数を遥かに超える注文を受けた。
カラー広告の威力をまざまざと知った・・・。雑誌の発売日に電話が鳴り止まなかったのだ。私の「ドヤ顔」は、社長をはじめ、同僚たちにも相当ムカつく感じに映っただろう(笑)。
そして私の「退職願」は、無事ゴミ箱へと葬り去られたのだった。
それじゃあ、また。