今だからこそ知ってほしい増田達至投手のこと
はじめに
以下の文章は,2019年1月に開催された“推しをとにかく前向きにプレゼンする”という「推しビブリオバトル」に参加した際に書いた文章に2020年6月現在の情報や私の思想を加筆修正したものです。もちろんわたしはただの野球ファンであり,北関東で働くしがない30代女性であるため,新聞記者の方やフリーのライターさんのように自分で直に情報を集めることができず,そのほとんどが新聞記事やテレビ,球団発行の冊子等から得た情報です。以下の文章は,それらを参考資料として引用しまとめ,少々の私見を述べたものです。マスコミ各社,記者の方,プレス,球団の方々には日々感謝しております。
1 目的
埼玉西武ライオンズは2018年,10年ぶりのリーグ優勝を果たしました。その優勝に大きく貢献したのは “山賊打線”と呼ばれる爆発的な打線の力と言われていて,ライオンズといえば打撃力が思い浮かぶ方も多いと思います。では,投手に対してはいかがでしょうか。わたし自身は,“先発がいない”“防御率の悪化”等ネガティブな面がクローズアップされることが多いと感じています。しかし実際は違います。ライオンズには素晴らしい投手が数多く存在し,それもライオンズの魅力なのです。ライオンズの辻監督は2018年キャンプイン時の懇談会で後藤オーナーに「中盤まで負けていてもお客様が帰らないチームを作る」と言いました※1。わたしは,“野手の打撃力”という視点だけでなく,“投手の魅力”という視点からも,「最後までライオンズの試合を観たい」という野球ファンを増やしたいと考え,この文章を書くことにしました。
>>推しビブリオバトルに参加した時にかいたはなしです
2 クローズアップする選手
今回は,増田達至投手を取り上げます。増田投手は,兵庫県出身の1988年生まれ。88年生まれといえば,“マー君世代”と呼ばれ,同級生に,同ライオンズの秋山翔吾選手,福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手,千葉ロッテマリーンズの石川歩選手等のスター選手がいます。彼はNTT西日本出身で,ライオンズでは中継ぎ・抑えをしており,彼の武器は「唸るようなストレート,唸らないスライダー,落ちないフォーク」とライオンズの岡田雅利捕手が評するように※2主にストレートでそのストレートは,俗にいう「真っスラ」と呼ばれるナチュラルにカットボール気味に変化するボールです。
3 増田達至投手を5つの要素から迫る
増田達至投手を,「外見」「性格・人柄」「チームでの役割と人間関係」「ファンサービス」という4つの要素から迫っていきます。
1) 外見
① 眉毛
増田投手といえばこの凛々しい眉毛であり,自分で整えているのかについては確認が取れていません。
② 目
まつ毛と言えばライオンズの栗山巧選手ですが,増田投手も良いまつ毛をしており,そのまつ毛は直線系です。瞳も印象的で,メットライフドームのブルペンサイドシートなどでカメラを構えているとよくこちらを見てくる(気がします)。
③ 胸
姿勢がよく常に胸を張っています。「うちの奥さんとお義母さんにも“増田くんカッコイイよね。抑えても打たれても胸張って帰ってくる。すごく褒めてた。」と同ライオンズの高橋朋巳投手に言われており※3,2017年の増田投手の目標は,武隈投手が考え代筆した「打たれても胸を張る」というものでした※4。
④ 手足
増田投手の手の指は短めで愛らしい。足のサイズは26cm。
⑤ 背番号
背番号は14番。球場で迷ったらこの番号を目印にしてほしい。
⑥ 帽子
常に曲がっていて,フジテレビtwoの小澤陽子アナウンサーに「なんで曲がっているんですか?」と聞かれ,「無意識に,自分で,ちょっと,ずらしてる感じはありますけど…」と答えおり,さらに「(帽子は)ここ(の場所)が落ち着くんですか?」と聞かれ,「そうですね。自分では,いちばんいい…そうですね。落ち着く場所というか…はい」とし、「まっすぐだと思ってつけてらっしゃるんですか?」と帽子の位置の自覚ついて問われると,「自分では,ちょっと曲げて,やってますね」と笑いながら答えていました※5。
2) 性格・人柄
増田投手を市川忍氏は「のんびりとした所作と、優しい仕草。ブルペンの投手陣からからかわれ、笑いのネタにされる。何を言われても笑顔を絶やさない、最も温和な守護神ではないだろうか」と書いています※6。メンタルについては「打たれても引きずらない。意識せずとも、天然で切り替えができている。」とチームスタッフが話しています※7。彼には試合前のルーティンがあり「長風呂。漫画を読みながら1時間くらい」とのこと※8。つまり,ナイター前の練習・ミーティングを終えた増田投手は入浴中で,ブルペンに入る時には風呂あがりになります。
彼自身は自分について,「のほほ~ん(とした人)」だと表現していて,そう評した理由については,「周りから「何か考えているのか?」と聞かれるが特に何も考えていないので, (自分が)“のほほ~ん”としているのが伝わっているのかなと思った。」と話しています※9。その穏やかな性格は他者への接し方にも表れていて,ライオンズオフィシャルブック内で,「増田投手の怒りのスイッチは?」と聞かれ,「僕、怒らないですね~。自分に腹が立つことはありますけど、人に腹を立てることはないですね。たぶん、あんまり他人に興味を持っていないからかもしれないです(笑)」と答えています※10。
3) チームでの役割と人間関係
① おともだちの武隈祥太投手
武隈祥大投手はライオンズの中継ぎ投手。増田投手の1つ年下ですが,彼らの関係性について高橋朋巳投手は“上下関係はなく「親友」”と話しています※11。武隈投手はチームメイトへの接し方について“「武隈好き」派と「武隈嫌い」派が6対4くらいであってほしいし「嫌われてもいい」と思ってみんなに接している※12”と話し,野球に対しても人間関係においても自分を貫いています。
2017年,増田投手は抑えを任されていましたが,6/4の東京ヤクルトスワローズ戦で4点リードの9回に4失点,9日の横浜DeNAベイスターズ(以下ベイスターズ)戦では1点リードの9回に宮崎選手に逆転2ランを浴び,今季2敗目を喫していました※13。続く6/10のベイスターズ戦で9回のマウンドに上がったのは武隈投手で,2-6とセーブシチュエーションでないとはいえ,増田投手の代わりに武隈投手を試しているようにも思えました。武隈投手は9回を0で抑え,ライオンズが勝利。親友である武隈投手が不調の増田投手の代わりに投げる姿を見て,これがチームだと熱いものを感じました。試合終了後,増田投手がベンチ裏へと去っていく際の,マウンドを見つめるその表情が忘れられません。
この翌日に行われたベイスターズ戦9回裏1点差の場面で増田投手が登板。2アウトまでは取ったものの4番筒香選手には四球。その後迎えた打者は9日に逆転2ランを浴びた宮崎選手。この場面で辻監督が就任後初めてベンチを飛び出しマウンドへ行き増田投手に「一度,マウンドに行ってみたかったんだよ」と冗談を交え雰囲気を和ませ,間を取りました。その後,増田投手は宮崎選手を打ち取り,無事 9回を抑えました。増田投手は,「監督が“大丈夫だ”と言ってくれた。驚いたけど、リラックスさせてくれた」と感謝しており※14,わたしは,この経験で成長した増田投手が投手コーチとなり,マウンドに行く日を待ち望んでいます。
武隈投手が調子を落としたこともあり,2017年9月6日武隈投手が抹消され,理由は勤続疲労としていました※15。この頃,武隈投手のタオルが8/4に発売され,増田投手は武隈投手のタオルを買おうとしましたが「売り切れていたので武隈投手本人に貰った」と話しています※16。増田投手は,武隈投手が抹消された後,このタオルを自分のリュックに結んでつけており,「ずっと(武隈投手と)一緒にいたんで,帰ってくるまでつけてます」と話していました※17。武隈投手が9/23に一軍登録された後も,増田投手は武隈投手のタオルをリュックにつけていました。この件について増田投手は「帰ってきて外したが,本調子じゃないからつけとけって(武隈投手に言われた)。シーズン最後までつけてて,今もつけてる」と話し,武隈投手も「本調子にならないんでね、もう。本調子じゃなかったらまた(2018年も)つけてもらって。もし,開幕してタオルがついてたら,今年は武隈もう使えないなと(思ってください)」と話していました※18。
② おともだちその2の小石博孝投手
小石博孝投手はライオンズの中継ぎ投手。増田投手の1つ年上ですが,仲のいい姿がよく球場で確認されています。小石投手は“チームNo1イケメンは?”という話題になった際に栗山巧選手が「俺,小石好きやけどね。エェ体しとるし~小石はいいよお~いいんだよお~…」と評したように※19,とてもさわやかな顔立ちをしていて,ファンサービスを積極的に行うことでも知られています。増田投手とは“いたずら仲間”で,「ホームゲームの際ふたりでバッティングピッチャーの神野さんにいたずらをするのが日々の楽しみだった」と話しています※20。※2020年現在は背番号209番を背負い,読売ジャイアンツの打撃投手となっています。
③ 後輩の小川龍也投手
小川龍也投手は2018年7月19日に中日ドラゴンズから金銭トレードで移籍加入した中継ぎ投手。1991年生まれで,日本人の父とフィリピン人の母を持つハーフです。ライオンズ入団会見の際に背番号が44(獅子)番になることを問われ「僕は龍也。龍はドラゴンズから来ました。なので龍から獅子に変わりましょう。小川獅子也になります」と宣言し,会場を笑いの渦に包んでいました※21。※2019年に背番号変更が発表され,現在背番号は29番になっています。
シーズン途中の加入でチームに馴染めるのか不安な部分もありましたが,増田投手も小川投手のことを気にかけていたようで, 8/21に小川・増田両選手が一軍に登録されるまでの間,二軍で増田投手は,小川投手の車のミラーにプロ野球チップスのカードを挟むといういたずらの形をしたコミュニケーションをとっていました(小川投手は気づかずそのまま帰宅)。そんな選手会長はどうか?とライオンズチャンネル内で聞かれ「いいと思います。溶け込みやすかったです。(ドラゴンズの時は)こんなにいじられたことない」と話していました※22。
④ 同級生の秋山翔吾外野手
秋山翔吾選手はライオンズの外野手で増田投手とは同級生。ライオンズの88年生まれの選手で同級生会と称し食事に行くこともあります※23。秋山選手は外野手で投手の増田選手とは距離があり,試合中にマウンドにいくことはありませんが,試合終了時に秋山選手が増田投手をねぎらう姿やふたりで話しながらベンチに向かう姿などが確認されています。
秋山選手の投手を思いやる姿は他にもみられています。2018年5月30日の広島東洋カープ戦では,10回表に秋山選手の適時打で勝ち越し,4-7とリードしていましたが,10回裏でひっくり返され逆転負けを喫してしまいます。この状況を見た辻監督は試合後のインタビューで「こういう負け方をして野手と投手が変な不信感を持ってしまうのが1番怖い」と話していました※24。次の日の試合でライオンズは7-12で勝利,2回表に3ランホームランを打った秋山選手はヒーローインタビューで「5月前半は野手が打てず、投手に助けてもらった。ピッチャーも苦しい中頑張ってくれている。そういう時は野手がカバーすればいい。野手が打てない時にピッチャーに助けられる試合もあるので、持ちつ持たれつ、チームがやっていくには必要」と話しており※25,辻監督のそれは杞憂に終わっています。※秋山選手は2020年1月6日にシンシナティ・レッズと契約を結び,背番号は4番となっています。
⑤ ますだおかだの岡田雅利捕手
岡田雅利捕手はライオンズの捕手。1989年生まれで大阪桐蔭高校出身 (中田翔とバッテリーを組んでいました)。岡田捕手は公式動画で「(自分を一言でいうと)元気です」と評し「チームの雰囲気をよくしたり,そういうところで目立たないとだめなので」と話しています※26。また「生まれ変わったら何になりたい?」と聞かれ,「女の子になりたい」と答えていて※27,その想いの表れかはわかりませんが,2015年-2017年のサンクスフェスタでは,球団公式パフォーマー・ブルーレジェンズの衣装を身にまといダンスを披露していました。
増田投手が9回のマウンドに上がるとき,キャッチャーは岡田捕手という場面があり,その際ふたりはお笑い芸人にあやかって“ますだおかだ”と呼ばれます。無事0で抑え試合を締めることができると,ふたりはマウンド上で“閉店ガラガラ”のパフォーマンスを小さく行います。岡田捕手はこのパフォーマンスについて,「頼むから4点ぐらいあいて増田さんとバッテリー組ましてとか(思う)。緊張してるけど,(試合が終わって)やろうと思った瞬間の増田さんの顔が“またやんのお~?”みたいな感じでつらい部分があるから,増田さん,もうちょっとしっかりやろ!」と増田投手にメッセージを送っています※28。※2019年に背番号変更が発表され,現在背番号は2番になっています。
4) 増田投手に会いに行こう
増田投手に会う機会はたくさんあります。以下の通り紹介します。
① 球場編
メットライフドームは埼玉県所沢市にあるライオンズのホーム球場で,最寄り駅は西武球場前駅です。一言にメットライフドームと言っても,様々な楽しみ方があります。
(ア) ブルペンサイドシート
ブルペン前に位置する席です。ブルペンで調整する増田投手を見ることができます。7回表終わりではイニング間に「ライオンズラッキーセブン」という,球場全体で「吠えろライオンズ」を歌い風船を飛ばすというイベントが行われます。飛ばされた風船がプルペン内にも落ちるため,その風船をキャッチする選手,拾う選手,ごみ箱を持つ選手などがいて,増田投手は主に胸を張って拾っています(ごみ箱係は後輩か小石投手)。
(イ) フィールドビューシート
グラウンドに近い場所に位置する席です。この席は試合をより近くで見るという目的で作られていますが,違った楽しみ方もできます。フィールドビューシート(以下FV)はブルペンに面していて,FVの一番端の席からは,ブルペンで調整する増田投手を正面から見ることができ,さらに,ブルペンサイドシートからでは塀に被って見えなかった,椅子に座って待機する増田投手やストレッチをする増田投手などを見ることができます。この席は,5~6回表終了後,ブルペンに出勤する増田投手(風呂上り)が目の前を通るため,そこにも注目です。
(ウ) プレミアムシート(2枚1組)
ネット裏に位置する席です。この席は2枚1組でなければ買うことができませんが,試合中の投手を真正面から見ることができるという点でおすすめです。
② LIONS THANKS FESTA編
1年に1回11月23日前後にメットライフドームで行われるイベントです。“1年間応援してくれたファンに感謝の気持ちを”の目的で様々なイベントが催されます。ファンクラブからの抽選ですが,サイン会や写真撮影会などがあるため,選手と触れ合う良い機会です。
③ 春季南郷キャンプ編
2月の初めから中頃に,宮崎県日南市南郷町の南郷中央公園で行われるキャンプです。キャンプ地の最寄駅は南郷駅で,宮崎駅から約1時間30分,最寄駅の南郷駅からキャンプ地までは徒歩約15分で行くことができます。キャンプでは,増田投手の投げている姿や投内連係をする姿を一日中見ることができ,楽しい時間を過ごせる場所だと考えています。
5) 増田投手の今後
そして,増田投手の今後として,2019年シーズンは抑えをするのかということが気になっています。3)-③の項目でも記した通り,ますだおかだというバッテリーで組み投げることは1ファンとしてはとてもわくわくします。しかし,2018年,増田投手は抑えとして苦戦を強いられ,シーズン途中で中継ぎに配置転換しました。「切り替えができる」「気にしない」とされていた増田投手も精神的に悩んでいたとの情報もあり,二軍で調整する時期もありました。そんな中,2018年5月10日にBCリーグ・富山サンダーバーズから加入したデュアンテ・ヒース投手が抑えに段々と定着し,現在ではライオンズの抑えはヒース投手となっています。チームのファンからすると安定感のある抑えがいるのが一番いいと考えていますが,増田投手のファンとしては,彼が絶対的守護神として活躍してくれる日が来るとしたらこれ以上のことはありませんが,彼が投げやすい場所で一日でも長く活躍してくれるのであれば,どこでも構わないという気持ちが一番強くあります。増田投手は中継ぎで投げることに対し,「自分が任された場所で結果を出すこと。もし内容が悪かったら、また2軍行きだとわかっていました。そういう意味では2軍を経験したことで、プロ1年目のように必死になれた」と話しています※29。彼が少しずつ復活を遂げ,チームの優勝に貢献し,ビールかけの乾杯の音頭を取る姿はとても感動するものでした。さらに彼は「今は目の前の試合のことしか考えていません」と話しています。2018年は様々な増田選手の姿を見ましたが,どれも見逃せないものでした。今後彼がどんなピッチングをするのか,選手として成長していくのか,わたしもひとりのファンとして目の前の増田達至投手を応援していきたいと考えています。
6) 増田投手の今後のさらにあと
以上の文章が2019年シーズンの始まる前に書いたものになります。増田選手のさらにそのあとについてですが,その後迎えた2019シーズン,埼玉西武ライオンズはパ・リーグ連覇を果たし,増田投手は胴上げ投手となりました。2018年に5.17だった防御率が2019年は1.81に。セーブ数は30,登板数は65でした。守護神に返り咲き,ファンには「増田で打たれたら仕方ない」とまで言われるほどの信頼度で※30,森捕手とともに最優秀バッテリー賞を受賞しました。最優秀バッテリー賞受賞の際,増田投手は森捕手に対し「頼りない自分をうまくリードしてくれてありがとう」と言っていましたが※31,2019シーズン中に森捕手のメンタル面のfollow upを行っていたのは増田投手で,増田投手をはじめとする選手が森捕手のために「友哉を励ます会」を開催し,増田投手は森捕手に「打たれても友哉のせいじゃないよ」と言い,支えていたとのことでした※32。このように増田投手は選手としても活躍し,ライオンズの選手会長としても立派に挨拶をこなし,先輩としても後輩選手を支えました。その姿を見ることのできた2019年シーズンは素晴らしい年でした。
しかし,2019年12月4日,増田投手は複数年契約の提示を固辞し,単年契約を結びました。増田投手は2020年シーズン中にFA権を取得する見込みです。渡辺GMは「複数年を断って1年契約ということになると,“来年FAか”と思うファンの皆さんも多いと思うが,彼は単なるそういう感じではなく,自分に厳しくするタイプ。彼の性格はわかっている」とファンに理解を求めましたが※33,わたしは渡辺GMの言葉を深く胸に刻み込んだあと意図的にすぐ忘れました。理屈ではなく感覚でこれがお別れの始まりということをわたしは知っています。某背番号11番の選手とのお別れは心の準備がないままだったため,大変悲しい思いをしました。某背番号35番の選手とのお別れはしっかりと心の準備をした上で2017年を過ごしたため,悲しみは2/3くらいになりました。きちんと心の準備をし全力で最終年に臨むことで,選手が移籍した際,ほんの少しだけおだやかに移籍した事実を受け入れられるのです。しかし今年は無観客で開催し,今後どれほどの観客を動員するのかわからない状態です。わたしが医療従事者ということもあり,球場に行ける日が来ないかもしれません。球場で増田投手を見ないままお別れする日が来ることは想像もしたくありません。できることならば(もし増田投手がライオンズを去るのであれば),もう1年だけでいいのでライオンズにいてほしいと考えています。いえ本心を言うのであれば,引退するその日までライオンズにいてほしい。しかし,わたしの個人的な感情など,選手の人生を考えるとき邪魔なものとしか言えないので,この気持ちは忘れることにします。
わたし自身の話になりますが,わたしが増田投手を推すきっかけとなったのは直感でした。友人から「球場にカメラを持っていくと楽しいよ」と言われ,デジタルカメラをレンタルし球場に行き,ブルペンサイドシートで観戦していた日でした。ブルペンの投手を撮ろうとカメラを覗き込んでいると,増田投手がフレーム内にモデルのように歩きながら入ってきて(胸を張っていたのでそう見えた),さらに撮ってみるととても撮りやすかったことから,「なんだか気になる…」と思い始めたのがきっかけでした。
そして時は流れ昨年……ライオンズの優勝が決まった時,わたしはzozoマリンスタジアムで増田投手が胴上げ投手になった瞬間を自らの一眼レフカメラで写真に収めていました。2017年のベイスターズ戦で増田投手をリラックスさせるために辻監督がマウンドに訪れてから2年,2019年のその時は辻監督がマウンドで抑えの増田投手を待ち「楽しめよ」と声をかけていました※34。推しの選手がさまざまな不調を乗り越え,守護神として胴上げ投手になる瞬間を自らのカメラで撮ることができ,とつもない喜びを感じたのを覚えています。
ライオンズの投手を応援するということは「覚悟」であると考えています。どんなときでも投手を応援しようという覚悟があれば,選手の防御率が悪化したり苦悩したりしながらも成長する姿を観て楽しむことができます。さらに,いつかお別れするとわかっていても応援しようという覚悟があれば,選手がライオンズにいる間は全力で応援することを楽しむことができます。
2020年6月19日,待ちに待った開幕。わたしは増田投手を今年1年応援する覚悟ができています。また,選手の思い出をこっそりしまい込み,忘れる方法もそのつらさも知っていますが,それでも応援したいくらい増田達至という投手は魅力的で「すごい選手」なのです。
>>以下「推しビブリオバトル」で配布した冊子の画像です
参考/引用文献・資料
※1 西武辻監督に続投要請へ、後藤オーナー賛辞づくし 日刊スポーツ
2018年9月13日 https://www.nikkansports.com/baseball/news/201809130000002.html
※2 文化放送 DASH!アミーゴ1号2号 2018年2月8日放送
※3 2016 SAITAMA SEIBU LIONS OFFICIAL FANBOOK 株式会社西武ライオンズ発行 株式会社ベースボールマガジン社発売 2017年3月25日発行
※4 LIONS MAGAZINE 5月号 株式会社西武ライオンズ発行2018年4月23日発売
※5 フジテレビTWO ライオンズTV #1「ファン感謝デースペシャル」 2017年12月20日放送
※6「僕は目立たなくていい」守護神。西武・増田達至は温和な人、でも。Sports Graphic Number Web 市川忍 2017年6月1日 https://number.bunshun.jp/articles/-/828175
※7 長風呂と漫画と謝罪。増田達至がつくる新たなストッパー像 Sports Graphic Number Web 鈴木忠平 2018年3月23日 https://number.bunshun.jp/articles/-/829998
※8 長風呂と漫画と謝罪。増田達至がつくる新たなストッパー像 Sports Graphic Number Web 鈴木忠平 2018年3月23日 https://number.bunshun.jp/articles/-/829998
※9 僕は“のほほ〜ん”「選手リレートーク2014」第14回 You Tube 2014年8月3日 https://www.youtube.com/watch?v=5HVc-s4U1XM
※10 2017 SAITAMA SEIBU LIONS OFFICIAL FANBOOK 株式会社西武ライオンズ発行 株式会社ベースボールマガジン社発売 2018年3月31日発行
※11 2016 SAITAMA SEIBU LIONS OFFICIAL FANBOOK 株式会社西武ライオンズ発行 株式会社ベースボールマガジン社発売 2017年3月25日発行
※12 2017 SAITAMA SEIBU LIONS OFFICIAL FANBOOK 株式会社西武ライオンズ発行 株式会社ベースボールマガジン社発売 2018年3月31日発行
※13「一度マウンドに行きたかっただけ」!? 西武・辻監督、増田を“再生“させた「珍」激励 西日本新聞 2017年6月12日 https://www.nishinippon.co.jp/nsp/baseball_lions/article/334949/
※14 ※13同上
※15 サンデーライオンズ公式ツイッター @sundaylions795 2017年9月6日投稿
※16 文化放送 ライオンズナイター 2017年9月13日放送
※17 ※16同上
※18 文化放送 ライオンズエクスプレス 2017年12月1日放送
※19 2013年 埼玉西武ライオンズファンクラブ入会特典 オリジナルDVD
※20 2017SAITAMA SEIBU LIONS OFFICIAL FANBOOK 株式会社西武ライオンズ発行 株式会社ベースボールマガジン社発売 2018年3月31日発行
※21 中日から西武に加入した小川龍也が入団会見「小川獅子也になります」2018年7月21日 https://baseballking.jp/ns/159685
※22 テレビ埼玉 LIONS CHANNEL 2018年11月22日放送
※23 木村文紀 公式インスタグラム @fumikazu_kimura9 2018年2月8日投稿
※24 西武秋山3ランも謙虚「金子が打ってくれて勢いが」日刊スポー 2018年6月1日 https://www.nikkansports.com/baseball/news/201806010000043.html
※25 セパ交流戦 広島東洋カープ対埼玉西武ライオンズ 3回戦 試合後ヒーローインタビュー 2018年5月31日
※26 僕は“元気です”「選手リレートーク2014」第20回 You Tube 2014年12月17日 https://www.youtube.com/watch?v=PLnqxa0QQ38
※27 ※26同上
※28 2018年 埼玉西武ライオンズファンクラブ入会特典 オリジナルDVD
※29 西武・増田達至を変えた配置転換「中継ぎで周りが見られるように」Sports Graphic Number Web 市川忍 2018年10月19 https://number.bunshun.jp/articles/-/832212
※30「増田で打たれたら仕方ない」安定感抜群の投球を続ける西武・増田達至は何が変わったのか 2019年9月10日 浜田哲男 https://spaia.jp/column/baseball/npb/8516
※31 西武・森友哉&増田達至が2019最優秀バッテリー賞 「頼りない自分をうまくリードしてくれてありがとうと言いたい」ベースボールチャンネル2019年10月9日 https://www.baseballchannel.jp/npb/72608/
※32 大台2億円に到達した西武森を支えた“友哉を励ます会”「それがなかったら…」2019年12月25日 Full-Count 安藤かなみhttps://www.baseballchannel.jp/npb/72608/
※33 西武、複数年打診も1年勝負の増田に渡辺GMは理解「彼の性格はわかっている」2019年12月4日 Full-Count 安藤かなみ https://www.baseballchannel.jp/npb/72608/
※34 辻監督「人生タイミング」決断から始まった反攻V2 2019年9月25日 https://www.nikkansports.com/baseball/news/201909240001189.htm
文・写真・画像=打子